薬師寺東塔で竣工式 「解体修理」完了

約110年ぶりの解体修理が昨年末に終わった薬師寺(奈良市)の国宝「東塔」の竣工式が15日、開かれた。雨が降る中、式は午前10時半ごろ始まり、東塔近くの回廊に集まった修理関係者ら約60人は、僧侶の読経や花びらを模した紙をまく「散華(さんげ)」などの様子を見守った。
修理の専門委員会で委員長を務める鈴木嘉吉元奈良文化財研究所所長は「現代の技術を結集して塔が立派に出来上がった」とあいさつ。薬師寺の加藤朝胤管主は「1300年もの間、大勢の方々が東塔に祈りをささげてきた。その思いを未来につなげるのが私どもの役目だ」と決意を語った。
薬師寺は7世紀末に藤原京(奈良県橿原市)に建立され、平城京遷都に伴い現在の奈良市内に移転。東塔は、移転当時から寺にある唯一の建物とされる。高さ約34メートルの三重構造で、屋根と屋根下の飾り「裳階(もこし)」が大、小、大、小とリズミカルに連なる美しさから「凍れる音楽」とも称される。
東塔は3月1日から内部の一般公開が予定されている。完成を祝う式典「落慶法要」は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で延期され、開催時期は未定。〔共同〕