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「髪黒染め」校則は適法、府に一部賠償命令 大阪地裁

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茶色っぽい髪を黒く染めるよう教諭らに強要されて不登校になったとして、大阪府羽曳野市の府立懐風館高校の元女子生徒(21)が、府に約220万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が16日、大阪地裁であった。横田典子裁判長は元生徒側の訴えを一部認め、府に33万円の支払いを命じた。髪の染色などを禁じる校則は「学校の裁量権の範囲内」との判断を示す一方で、不登校後の学校側の対応を違法と認定した。

文部科学省によると、校則について定めた法令はない。同省は「児童生徒が健全な学校生活を営み、より良く成長・発達していくため、各学校の責任と判断の下に定められる一定の決まり」と定義しており、裁判では髪の染色などを禁じた校則が合法かどうかが主な争点となった。

判決はまず、こうした校則について、生徒の非行を防ぐ教育目的に沿ったものであり、「社会通念に照らして合理的で、生徒を規律する裁量の範囲を逸脱していない」と判断。校則を巡る学校側の裁量権を幅広く認めてきた過去の司法判断を踏襲する形となった。

その上で、教師らの頭髪指導の妥当性について検討。「教員らは生徒の生来の頭髪の色が黒だと合理的な根拠に基づいて認識し、頭髪指導を行っていた。教育的指導における裁量の範囲を逸脱した違法があったとはいえない」と違法性を否定した。

一方、判決は生徒が不登校になった後、学校が名簿に生徒の名前を載せなかったり、教室に席を置かなかった措置などを批判。「登校回復に向けた教育環境を整える目的でなされたとは認められない。生徒に与える心理的打撃を考慮せず、著しく相当性を欠いている」と結論づけた。

校則を巡る訴訟は過去にも起きている。1985年には熊本地裁が男子生徒に丸刈りを強制する校則は「違憲ではない」とする判決を出したほか、96年には最高裁がパーマを禁じる校則が「社会通念上、不合理とはいえない」と判断。今回の大阪地裁判決を含め学校側の裁量の範囲を幅広く認める司法判断が定着している。

訴状などによると、元女子生徒は生まれつき髪の色素が薄く、2015年4月の入学時に母親が「地毛が茶色なので配慮してほしい」と要請した。だが教諭らは黒染めを強要した。何度も髪を黒く染めたにも関わらず「不十分」と指導を受けた。「学校をやめるか黒染めするか選べ」などと言われ、生徒は2年生だった16年9月から不登校になった。これに対し、府側は「生徒は生まれつき黒髪だったと認識している。校則に反して茶色に染めていたため指導しており違法性はない」などと反論していた。

判決後、元女子生徒の代理人弁護士は「乱暴な事実認定だ。生徒はいまだに人間不信が残っており、被害の大きさを考えると賠償額は安すぎる」と話した。

一方、大阪府の吉村洋文知事は「名簿からの削除は間違っていると思うし、ここに違法性があるなら不服はない。(判決を)しっかりみた上で適切に対応する」とコメントしている。

校則のあり方巡り 国内外で注目 大阪府立高校の頭髪の黒染め指導を巡る今回の大阪地裁訴訟は、海外メディアが「学校の過剰な注文」と報じるなど国内外で注目が集まり、各地で髪形などを厳格に定める「ブラック校則」を巡る議論の発端となった。
「ブラック校則」は生徒の外見や行動などを過度に縛る校則を指す。規律を求める教育現場では校則が重んじられてきた。だが、多様性が尊重される時代になり、校則のあり方が問われるようになってきた。
NPO法人「ストップいじめ!ナビ」(東京)などが2018年に全国の15歳~50代の男女計2千人を対象に実施したアンケートでは、「ブラック校則」が中学時代にあったと答えたのが約66%、高校時代は約50%だった。10代の回答者のうち16%が中学時代に「下着の色が決められていた」と答えた。「男性教員が下着チェックをした」との女性の声もあった。
校則見直しの動きも広がっている。大阪府教育庁は提訴を受け、2017年に府立高に校則の点検を指示。一部の学校では生徒の生まれつきの髪の色を尊重し「茶髪は禁止」の表現を「染色・脱色は禁止」に変えたり「防寒具着用禁止」の文言を削ったりした。岐阜県の県立高では下着の色を制限したり、外泊の届け出を求める校則が廃止された。

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