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Google秘蔵っ子・インドのダンゾ、バイク配達×DXで快走

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グーグルが出資するダンゾは「何でもバイク速配」で急成長する

米グーグルによるインド初の投資先となった「何でもバイク速配」のダンゾ・デジタル(ベンガルール)が、新型コロナウイルス禍で急成長している。月間取扱高は前月比2桁ペースで拡大。1月に完了した資金調達での企業価値評価額は2億5千万ドル(約260億円)超と、ユニコーン(評価額10億ドル以上の未公開企業)の称号も視野に入る。

2015年に創業した同社は、いったいどんな会社か。ひとことで言うと、モバイルアプリで発注から代金支払いまで完結する「おつかい」サービスだ。買い物や届け物をバイクで素早くこなすほか、自宅から職場へ手作り弁当を届ける需要が多いという。

買い物については提携する大小の小売店が多くあり、各店で買える商品はアプリ上でメニュー化されている。例えば、ある青果店のページでは「ショウガ」の写真の下にプルダウンメニューがあり、30グラム、100グラム、300グラムと指定して注文できる。2~3キロメートル圏内の店を指定すれば、たいてい30分以内に届く。

「インフラが未整備で渋滞がひどいインドの大都市で、移動を伴う用事を往復1時間以内で済ませられるケースは少ない」と、ダンゾの創業者で最高経営責任者(CEO)のカビール・ビスワス氏は話す。「それを究極的には1分で済ませられるようにするのが我々の長期目標」という。現在ダンゾの発注から配達完了までの平均所要時間は24分。将来はドローンを使って大幅に短縮する構想だ。

ダンゾのビスワスCEOはすでに一度エグジットに成功している連続起業家だ

時間短縮のカギはサービス網のきめ細かさと、配達員の分布を最適化する人工知能(AI)を活用した管理手法だ。単位営業区域を半径3.5キロ前後に設定。現在8都市の300区域で地域密着サービスを提供する。各区域の中での配達員の分布が需要にマッチするよう、居場所によって報酬を逐一変える。

一方、提携店側には個別の注文やアプリ上での陳列商品の残数の管理などをパソコンやスマートフォンでこなせるダッシュボードをクラウド上で提供する。電子商取引(EC)の仕組みに簡単に乗れるため、中小商店が参加しやすく、大手スーパーにとっては配達を含むオンライン買い物サービスの外注先になる。まさにデジタルトランスフォーメーション(DX)だ。

コロナ禍で買い物代行への需要は急増した。都市封鎖(ロックダウン)の緩和後である20年下半期の取扱高は前年同期比2.5倍の5千万ドル前後になったもようだ。年明け後も月間取扱高が前月比で10~15%ペースで伸びているという。

買い物代行サービスは、料理宅配の2大ブランドであるスウィギーとゾマトも取り組んだがうまくいっていない。消費者と小売店それぞれのニーズにうまく応えるには専門的なノウハウや技術が必要なようだ。インドのネット人口は中国に次いで2番目に多いが、消費者向けECの利用は始まったばかり。この段階で独自の事業モデルで競争優位を確立できれば、今後の爆発的なEC利用増の恩恵をフルにうけられる。

さらにダンゾはインドの消費者向け事業者として唯一、ドローンの自動運行の実験許可を政府から得て実験を繰り返している。ドローン配達で先行できれば他のECなど企業向け事業の可能性も広がる。配達ルートの最適化やドローン実験などではグーグルの地理やAIの技術も生かしているもようで、グーグルにとっては自らの技術ポートフォリオがインドでどう生かせるのか、よい実験になる可能性がある。

インドの消費者へのアクセスを確保する位置づけで昨年リライアンス・インダストリーズに45億ドルを出資したグーグルにとってダンゾへの投資はちっぽけだが、見返りは案外、こちらの方が実のあるものになるかもしれない。

(編集委員 小柳建彦)

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