タイの反体制デモ、警察と衝突 ミャンマー市民に共感も
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【バンコク=村松洋兵】タイの首都バンコクで28日夜、元軍人のプラユット首相の退陣などを求める反体制デモ隊が警察と衝突し、双方合わせて数十人が負傷した。少なくともデモ隊の22人が逮捕された。デモ参加者の一部は隣国ミャンマーのクーデターに抗議する横断幕を掲げ、同国市民のデモに共感を示した。
デモ隊は約1500人が中心部の交差点から約3キロメートル離れた陸軍駐屯地を目指して行進した。警察は放水車や催涙ガスを用いて強制排除した。ゴム弾も発射されたもようだ。デモ隊はペンキや爆竹のようなものを警察に投げ「応戦」した。警官1人が心臓発作で死亡したとの情報もある。

28日にはミャンマー各地でもクーデターに抗議するデモがあったが、参加者は事前にSNS(交流サイト)を通じ、同じ日のデモ実施をタイ側などに呼びかけていた。SNSでは「ミルクティー同盟」という名称が飛び交った。タイ、香港などを結ぶ民主化運動の緩い連帯とされたこの同盟に、ミャンマーも加わった格好だ。
プラユット氏は2014年に陸軍司令官としてクーデターを主導し、暫定首相に就いた。19年の総選挙を経て、民政移管後で初の首相に横滑りした。デモに参加する若者らは「事実上の軍政継続だ」と批判している。