タイ、8年ぶり貿易赤字 22年輸出最高も燃料輸入増

【バンコク=村松洋兵】タイ商務省が24日発表した2022年の貿易統計によると、輸出額から輸入額を引いた貿易収支は161億ドル(約2兆1000億円)の赤字だった。通年で貿易赤字となるのは14年以来8年ぶり。世界的な需要回復で輸出額は過去最高だったが、原油高で燃料の輸入額が大幅に膨らんだ。
輸入額は21年比13.6%増の3031億ドルだった。原油が6割近く増え、輸入額全体の12.3%を占めた。国・地域別でみると最大は中国からの輸入で、6.7%増の710億ドルだった。産油国のアラブ首長国連邦(UAE)からの輸入は9割増の174億ドルに達した。
輸出額は5.5%増の2870億ドル。工業製品は集積回路(IC)や機械・部品などが伸び4.4%増だった。食料価格の高騰もあり、農産物や加工品が8.8%増加した。国・地域別で最大の輸出先は米国で13.4%増の475億ドル。2位の中国は「ゼロコロナ政策」による需要減の影響で7.7%減の343億ドルだった。
商務省貿易政策・戦略事務局は23年の見通しについて「地政学的な緊張が貿易の障害とサプライチェーン(供給網)のリスクを生み出す可能性がある」と指摘。足元で進行している通貨バーツ高も「輸出の足かせになる」と警戒感を示した。

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