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ミャンマー国軍、最大級デモに対応苦慮 米欧の制裁警戒

【ヤンゴン=新田裕一、ブリュッセル=竹内康雄】ミャンマーの国軍に対するデモは22日、大規模なゼネストに発展した。国軍は欧米の制裁を警戒しデモ対応に苦慮している。ただ1988年のゼネストでは国軍が無差別発砲して多数の死傷者が出ており、緊張が高まっている。

22日のゼネストの呼びかけは20日ごろからSNS(交流サイト)を通じて広がったようだ。多くの職員が欠勤し、税務署や金融機関などもほとんど機能していない。最大都市ヤンゴンの中心市街で抗議デモに参加した大学生の女性(22)は「民主主義を取り戻すまで闘う」と話した。

ヤンゴンで縫製工場を操業する日系企業の現地法人トップは「従業員から次々と休暇の申し出があった」と話す。「何が起こるか分からないので従業員の安全のため休業を決めた」と説明した。

国軍は中部にある第2の都市マンダレーで抗議デモに発砲し、2人を死亡させるなど強硬姿勢を強めているが、外交団や外国メディアの目が集まるヤンゴンでは大規模な排除には乗り出していない。欧米が2011年の民政移管後に解除した経済制裁を再開すれば、国際社会から再び孤立することになるためだ。

欧州連合(EU)は22日の外相理事会で、ミャンマーのクーデターを批判する決議を採択した。状況の改善に向けて、主要な利害関係者との対話を支援する一方、クーデターに直接責任がある関係者への制裁の準備はできていると表明した。制裁の具体的な内容には言及していないが、資産凍結やEUへの渡航禁止などが考えられる。

開発協力や貿易優遇策なども「状況の進展に応じて見直す」とし、軍事政権への圧力を強める方針を示した。EUはミャンマー国軍に非常事態宣言をすぐ解除するよう求めたほか、アウン・サン・スー・チー氏ら拘束された人々の即時釈放を要求した。ドイツのマース外相は会合前に「最後の手段として制裁措置を準備する」と述べた。

制裁で影響が大きいのは特恵関税の凍結だ。米欧はミャンマーの民主化を支援するため同国への特恵関税を適用、ミャンマーの縫製品輸出に占めるEUのシェアは5割を超える。ただ強力な制裁を科すとミャンマーが中国に接近しかねないとの懸念もある。

一方、中国の陳海駐ミャンマー大使はクーデターでの混乱を「中国は決して望まない」とする声明を公表、中国がクーデターを事前に把握していたとの噂を打ち消した。

国軍は22日、市内の要所に警官隊を配備し、多数のデモ隊が集まる外国大使館や国連事務所の前の道路を封鎖した。21日には非難を強める日米欧や国連に対し「内政干渉に等しい」と反発する声明を出した。

88年8月8日の独裁体制に対する民主化要求デモとゼネストは「8888蜂起」と呼ばれる。国軍は混乱を収拾するため同9月にクーデターを宣言し、抵抗する市民への無差別発砲を開始した。一連の犠牲者は国軍の発表で300人以上、実際には数千人が命を落としたといわれる。

民主化指導者のスー・チー氏は「8888」後の8月下旬に抗議運動に参加した。クーデター後、軍事政権が総選挙の実施を約束したことを受けて国民民主連盟(NLD)を発足したが、翌年には自宅軟禁された。

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ミャンマー国軍は2021年2月1日、全土に非常事態を宣言し、国家の全権を掌握したと表明しました。 アウン・サン・スー・チー国家顧問率いる政権を転覆したクーデター。なぜ起きたのでしょうか。 最新ニュースはこちら。

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