タイ、水産市場でコロナ500人超感染 過去最多
【バンコク=村松洋兵】タイ政府は19日夜、首都バンコクの南西に隣接する中部サムットサコーン県で新型コロナウイルスの新規感染者を548人確認したと発表した。同国の1日当たり感染者数として過去最多で、最大のクラスター(感染者集団)となった。同県は2週間にわたり学校などを閉鎖し、夜間外出を禁止する。

新規感染者の大半はミャンマーからの出稼ぎ労働者で、症状はなかった。水産市場で働くタイ人女性から感染が確認されたため、市場関係者を検査していた。
タイ当局は19日から2021年1月3日まで外国人労働者が同県を出入りすることを禁じた。県内の商業施設や飲食店の営業も制限する。2014年の軍事クーデター以後で初となる20日の地方選は実施する。
タイの19日昼時点の累計感染者数は4331人で、水産市場での集団感染により一気に1割超増える計算となる。これまでの1日当たりの最多感染者数は3月22日の188人だった。
タイ政府は3月26日に非常事態宣言を発令し、厳しい出入国規制や経済活動制限によって国内での感染を比較的抑制してきた。しかし、11月下旬にミャンマーから帰国したタイ人からの市中感染が確認され、第2波の懸念が広がった。非常事態宣言は21年1月15日まで延長されている。
政権退陣や王室改革を求める反体制デモの参加者からは、政府がコロナ対策をデモの封じ込めに利用しているとの批判も出ている。