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ミャンマー戒厳令地域「国軍が裁く」、上訴できず死刑も

デモ死者数、累計180人超に

16日、ヤンゴンで国軍のクーデターに抗議するデモ隊=AP

【バンコク=村松洋兵、ヤンゴン=新田裕一】ミャンマーの国営紙は16日、クーデターを起こした国軍が最大都市ヤンゴンの一部地域に出した戒厳令に関して「(対象地域では)刑事事件を軍法会議で裁く」と伝えた。対象となる反逆罪などの最高刑は死刑で、上訴はできない。国軍が市民らによる抗議デモへの弾圧を強める背景には、混乱を早期に収拾したいとの焦りがのぞく。

国営紙は国軍が15日までにヤンゴンの計6地区に出した戒厳令の詳細を公表した。対象地域では司法権と行政権がヤンゴン管区の国軍司令官に移管され、刑事事件は国軍が設置する軍法会議で審理して判決を下せるようになった。

国営紙は軍法会議の対象について、反逆罪や政府への不信をあおる行為など23項目を列挙した。国軍が「虚偽」とみなす情報を広めることや、報道関連の法律違反も含まれた。

有罪判決なら最高刑の死刑のほか、過酷な労働を伴う無期懲役となる可能性がある。死刑は国軍がクーデター後に設置した最高意思決定機関「国家統治評議会」のミン・アウン・フライン議長(国軍総司令官)が最終的に承認する。

国軍はクーデター後に非常事態宣言を発令し、既にミン・アウン・フライン氏が立法、行政、司法の全権を掌握している。さらに一部地域に戒厳令を出したのは、市民らによる抗議デモが一向に収まらないためだ。

クーデター以降、民主化指導者のアウン・サン・スー・チー氏をはじめ2000人以上が当局によって逮捕・起訴されたが、審理は一般の裁判所が担当してきた。軍法会議によって従来以上に国軍の恣意的な判断がなされる見込みだ。

デモ隊にはスー・チー氏が党首を務める国民民主連盟(NLD)の議員らが組織した「連邦議会代表委員会(CRPH)」への支持が広がる。国軍は事実上の「臨時政府」を立ち上げたCRPHの活動は反逆罪に当たり、同調する行為も罪に問われると警告している。CRPHに関する事件も軍法会議の対象になる可能性がある。

国軍は抗議デモに対し武力による弾圧も続けている。民間団体の政治犯支援協会(AAPP)が16日に発表した集計によると、15日までのデモ参加者らの累計死者数は少なくとも183人となった。

14日には国軍や警察がヤンゴン北西部の縫製工場が集まる地区などで発砲し、全土では1日当たり最悪となる74人が死亡した。15日時点の集計では38人としていたが、追加の犠牲者が明らかになった。15歳の少女など18歳以下の3人が含まれるという。

15日はヤンゴンや中部にある第2の都市マンダレーで20人以上の死亡が確認された。これまでデモ隊の鎮圧には主に警察が当たっていたが、戒厳令が出された地域では国軍が前面に出るとみられる。武力による弾圧が激しくなる懸念がある。

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ミャンマー国軍は2021年2月1日、全土に非常事態を宣言し、国家の全権を掌握したと表明しました。 アウン・サン・スー・チー国家顧問率いる政権を転覆したクーデター。なぜ起きたのでしょうか。 最新ニュースはこちら。

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