破綻のタイ航空、裁判所が再生計画承認 本格再建開始へ

【バンコク=村松洋兵】タイ中央破産裁判所は15日、経営破綻したタイ国際航空の事業再生計画を承認した。タイ航空は人員削減や路線網の再編を通じて収支改善を目指す。新型コロナウイルスの影響を受けた2020年5月の破綻から1年以上が経過し、ようやく本格的な再建が始まる。
再生計画は5月19日の債権者集会で、負債総額の9割を占める債権者の賛成で可決されていた。裁判所の承認により、再生計画に盛り込んだリストラ策や債務返済計画を実行できるようになる。
タイ航空の3月時点の説明によると、19年に約2万9000人いた従業員を、1万4000~1万5000人にほぼ半減する。保有機材は2割少ない85機程度に減らし、収益性の高い路線に集中する。債権放棄は要請せず、返済猶予を求める。
事業継続には2年間で500億バーツ(約1750億円)の資金が必要とされる。プラユット首相は15日の閣議後の記者会見で「タイ航空の再建を成功させるために、すべての関係者が前進してほしい」と強調した。
タイ航空は20年5月、タイの破産法に基づく事業再生手続きの開始を申請した。20年12月期は連結最終損益が過去最悪となる1411億バーツの赤字に陥り、債務超過額は1286億バーツに膨らんだ。業績はコロナ前から低迷しており、非効率な経営も問題視されている。

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