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東南ア成長率、変異ウイルスとワクチン接種遅れが下押し

(更新)
バンコクの繁華街では多くの店が営業を休止している

【バンコク=村松洋兵】東南アジアの経済成長を新型コロナウイルスの感染再拡大が下押ししている。変異ウイルスが広がるタイは17日、2021年通年の成長率見通しを下方修正した。東南アジアはワクチン接種が遅れている国が多く、感染再拡大の影響は大きく広がる可能性がある。

タイの国家経済社会開発委員会(NESDC)は17日、1~3月期の実質国内総生産(GDP)が前年同期比で2.6%減ったと発表した。20年10~12月期(4.2%減)よりは改善したものの、マイナスは5四半期連続だ。21年の通年見通しは従来の2.5~3.5%から、1.5~2.5%に下方修正した。

タイは4月に英国型の変異ウイルスの市中感染が確認され、5月に入りインド型も見つかった。17日は過去最多となる9635人の新規感染者が確認され、累計感染者数が11万人を超えた。3月末比では4倍弱に急増した。タイでワクチン接種を完了した人の比率は1%にとどまる。

国内では飲食店や娯楽施設の営業が制限され消費が落ち込んでいる。7月以降にリゾート地プーケットなどで外国人観光客の受け入れ再開を目指すが、ワクチン接種完了率70%の達成を条件としている。NESDCのダヌチャー長官は記者会見で「ワクチンが経済回復のための重要なツールになる」と指摘した。

シンガポールは行動制限が段階的に緩和され、1~3月期のGDPは0.2%増と5四半期ぶりにプラス転換した。政府は2月時点で通年の成長率を4~6%と見込んでいたが、最近の感染者の増加を受けて5月16日から外食禁止など行動制限を強化しており、成長率予測も今後、下方修正される可能性がある。

隣国のマレーシアもGDPは1~3月期に製造業の復調によって0.5%減まで持ち直していた。ただ、変異ウイルスの広がりを受け、12日から全国で行動制限が強化された。同国のワクチン接種完了率は2.3%と比較的低い。マレーシア中央銀行は通年で6~7.5%の成長を見込むが、下振れする公算が大きくなっている。

コロナの封じ込めに比較的成功してきたベトナムの1~3月期は4.5%増だった。最大の対米輸出が3割増えて成長をけん引した。ただ、ベトナムでも4月末に1カ月強ぶりに市中感染者が確認されて以降、感染者が増加傾向にある。5月17日時点の累計感染者数は4242人となり、4月末に比べ4割増えた。一部の工場ではすでに操業に影響が出ている。

ベトナムのワクチン接種完了率は0.1%以下で、周辺国と比べても接種は著しく遅れている。中国と南シナ海の領有権問題を抱えていることもあり、中国製ワクチンを受け入れていないことも要因になっている。アジア開発銀行は4月末に公表した経済見通しでベトナムの通年の成長率を6.7%増と予測したが、新型コロナの抑制という前提条件が崩れてきている。

感染状況が深刻な国では、ワクチン接種の進展度合いによって景気回復に差が出ている。インドネシアは1~3月期のGDPが0.7%減まで持ち直した。累計感染者数は170万人超と東南アジア最多だが、1月からワクチン接種を開始し、足元の完了率は3.3%となった。新規感染者数は抑制されつつあり、2月にはジャカルタなどで商業施設の営業時間などの制限が緩和された。

累計感染者数が110万人を超えるフィリピンは、1~3月期のGDPが4.2%減だった。フィリピンはワクチン接種完了率が0.6%にとどまる。南アフリカ型などの変異ウイルスが広がっており、3月下旬には移動・行動制限を最も厳しい水準に引き上げた。

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