中国、「一帯一路」推進でASEAN囲い込み

【プノンペン=村松洋兵、北京=羽田野主】中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)は11日、カンボジアの首都プノンペンで首脳会議を開いた。中国から李克強(リー・クォーチャン)首相が対面式で参加し、広域経済圏構想「一帯一路」の推進を呼び掛けたもようだ。14日に予定される米中首脳会談を前にASEANの囲い込みを強めようとしている。
李氏は首脳会議の冒頭で「中国とASEANは非常に大きな協力の可能性を享受している」と述べ、ASEAN各国の首脳に対して経済協力を強化する意向を表明した。日本経済新聞社が入手したASEAN側の議長声明案には、地域の経済成長を促進するために「一帯一路を前進させる」と盛り込まれている。
李氏は首脳会議に先立つ9日、プノンペンで開かれたカンボジア初の高速道路の開通式典に出席した。中国国有企業が約20億ドル(約2800億円)を投じて、プノンペンと南部の港湾都市シアヌークビルを結ぶ約190キロメートルの区間を建設した。
中国国営の新華社によると、李氏はカンボジアのフン・セン首相との会談で「道路、医療、給水などの支援事業をしっかりと実行し、生活改善を可能な限り支援していきたい」と述べた。フン・セン氏は「両国の関係と協力のさらなる発展を推進することを望んでいる」と歓迎したという。
インドネシアのバリ島で15、16日に開く20カ国・地域(G20)首脳会議には、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が出席する。中国が主導して建設が進むジャカルタ・バンドン間の高速鉄道の試験を、インドネシアのジョコ大統領とともにオンラインで「視察」する予定だ。