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タイ反体制デモが下火に 不敬罪・コロナ対策で締め付け

不敬罪で起訴されたデモ隊指導者のアノン弁護士=ロイター

【バンコク=村松洋兵】タイで政権退陣や王室改革を求める反体制デモが下火になっている。政府が不敬罪適用や新型コロナウイルス対策を名目にした行動制限で締め付けを強めており、4月以降は大規模集会が開かれなくなった。強権的な政治に対する国民の不満は強く、コロナの感染状況が落ち着けばデモが再燃する可能性は残る。

若者が主導するデモは2020年後半に盛んになり、首都バンコクの集会は一時数万人規模に膨れ上がった。軍政の流れをくむプラユット政権を民主的でないと批判し、絶対的な権威を持つ国王の権限縮小も要求した。デモ隊指導者のアノン弁護士は「20年は序曲にすぎず、21年はもっと激しくなる」と予告していた。

潮目が変わったのは20年末だ。政府はコロナ対策の非常事態宣言に基づく集会禁止命令を全土に出し、デモの取り締まりを厳格化した。年明け以降もデモは散発的に続いたが、参加者数は多くて数千人に減少。2月に入ると王室に対する不敬罪の疑いがあるとしてアノン氏らデモ隊の中心人物を相次ぎ拘束した。

人権派弁護士グループによると、これまでにデモ隊の約100人が不敬罪の摘発対象となった。不敬罪は事案ごとに最長15年の禁錮刑が科される。学生リーダーのパリット氏は最多の20件で起訴され、単純計算で計300年の禁錮となる可能性がある。同氏は5月中旬まで約3カ月間勾留され、デモ活動を控えることを条件に保釈を認められた。

4月以降は変異ウイルスの感染拡大で行動制限が強化されたこともあり、街頭デモはほとんど起こらなくなった。だが体制批判が収まったわけではない。

5月に実施した世論調査では政権がコロナ対応に失敗しているとして53%が「不満」と答えた。デモ隊は活動の場をインターネット上に移しており、招待制の音声SNS(交流サイト)「クラブハウス」などを活用して政権批判や王室改革の議論を続けている。足元ではプラユット首相の親族の資産隠し疑惑も浮上している。

政治学者のスクム・ヌアンサクル氏は「デモ隊は政権が公正でないと考え、民主化を諦めていない」として、コロナの感染状況が改善すればデモを再開すると指摘する。

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