タイ航空「24年に再建完了」 新CEO、日中路線を増便へ

【バンコク=村松洋兵】1日付でタイ国際航空の最高経営責任者(CEO)に就任したチャイ・エアムシリ氏が9日に記者会見し、経営再建が2024年に完了するとの見通しを示した。新型コロナウイルス対策の緩和で航空需要が回復しており、従来の想定より1年前倒しする。年内に中国や日本との路線を増便する意向も明らかにした。
タイ航空は20年にコロナの感染拡大の影響で経営破綻し、人員削減や路線再編を柱とする事業再生計画を実行中だ。22年には債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ)で債務超過を解消する方針も決め、25年に再建を終える見込みとしていた。チャイ氏は「計画の進捗は70%に達した」と述べた。売買停止中の株式も25年に取引を再開させたい考えだ。
2月末までに発表する22年12月期決算について、売上高が前の期に比べて4倍弱の900億バーツ(約3500億円)程度になったと明らかにした。23年12月期は前期比40%増を見込む。達成できればコロナ前の19年12月期と比べて7割程度にまで回復する。運用する機材を現在の49機から年内に58機まで増やす方針だ。

チャイ氏は路線について「中国はもちろん日本や欧州も追加したい」と述べた。中国は年内に北京や上海など5都市への就航を計画する。日本は「都市数よりも運航頻度を増やしたい」として、就航済みの羽田や成田、関西国際空港などの路線を増便する考えだ。全体の路線数は23年に19年比65%、25年に同85%まで回復を見込む。
チャイ氏は1月末まで最高財務責任者(CFO)を務めていた。22年11月にCEOの公募に応じた社内外の53人の中から選ばれ、今回の就任が内定していた。タイ航空は20年4月に当時のスメートCEOが辞任して以降、CEO職は代行を置くにとどめ空席だった。
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