タイバーツ16年ぶり安値圏 米利上げで資金流出懸念
通貨番付
タイバーツが対ドルで軟調だ。10月中旬には1ドル=約38バーツまで下落し、約16年ぶりの安値圏で推移する。利上げを加速させる米国との金利差によって資金流出懸念が高まっている。観光産業の回復の遅れもバーツ安を加速させる要因となる。

タイ中央銀行は9月下旬の金融政策委員会で、政策金利(翌日物レポ金利)を年1%に引き上げた。2会合連続の引き上げだが、いずれも0.25%の小幅利上げにとどまり、4会合連続で0.75%の大幅利上げに動く米国との金利差は開く一方だ。
中国のゼロコロナ政策も影響し、主力の観光業や輸出産業の回復も遅れている。アユタヤ銀行の畑哲也シニアバイスプレジデントは「コロナ前にバーツ高の要因として働いていた経常収支の黒字化にもしばらく時間がかかり、タイバーツの反発は来年以降になる」とみている。
(バンコク=井上航介)
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4日までの1週間で英ポンドが下落。米国との金融引き締め速度の違いが意識されポンド売り・ドル買いが優勢となった。
