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「クーデター許せず」ミャンマー数万人デモ ネットは復旧

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【ヤンゴン=新田裕一、バンコク=村松洋兵】軍事クーデターの発生から8日で1週間を迎えるミャンマーで、市民らの国軍への反発が強まっている。7日は最大都市ヤンゴンで2日連続の抗議デモが起こり、数万人が参加した。デモの規模は仏僧が中心となった反軍政運動の起きた2007年以降で最大となった。

7日、前日に遮断されていたインターネットへの接続は復旧した。異論を封じ込める強制措置への国民の反発や経済・社会活動への影響を考慮したもようだ。

「独裁は地に落ちろ」「(国家の)母アウン・サン・スー・チー氏を解放せよ」。デモ隊は繁華街のレーダン地区などから中心部の市庁舎前を目指して行進。7日夕には周辺の大通りを埋め尽くした。スー・チー氏が党首を務める国民民主連盟(NLD)のシンボルカラーである赤のリボンを街頭で配布し、市民らに抗議活動への賛同を呼びかけた。

在ミャンマー日本大使館によると、デモはヤンゴン市内の複数の場所で行われ、レーダン地区だけで参加者は1万人規模となった。デモに参加した男性(42)は「民主主義のために(国軍の)独裁体制が崩壊するまで戦う。逮捕される可能性はあるが恐れていない」と話した。

デモ参加者には3本の指を掲げる姿が目立つ。タイの反体制デモ隊が好んで使うポーズで、もともとは米映画「ハンガー・ゲーム」で独裁者に抵抗の意を示すものだ。

クーデター発生から数日間、市民らは国軍による弾圧を恐れて、自宅などから鍋やフライパンをたたいて抗議の意を示す程度にとどめていた。だが、民間の現地紙によると6日のヤンゴンのデモには数千人が参加し、首都ネピドーや第2の都市マンダレーでもデモが起きた。一方、国軍・政府系のメディアはデモを一切報じていない。

7日、ヤンゴン・レーダン地区の商業施設前に集まったデモ参加者
国民民主連盟(NLD)のシンボルカラーである赤色の服を身につけるデモ参加者(7日、ヤンゴン)

デモ隊と当局の衝突は今のところ避けられているが、「街中で武装した部隊が控えているのを見た」(ヤンゴン在留邦人)との情報もある。国軍は1988年に民主化デモを武力弾圧し数千人を殺害した。07年には日本人ジャーナリストの長井健司さん(当時50)がデモ取材中に、発砲を受けて死亡した事件も起きている。デモの拡大により事態が緊迫する懸念がある。

6日午前のデモ開始に合わせて、現地ではインターネットの接続状況が悪化し、その後携帯電話、固定回線ともネットが利用できなくなった。ミャンマー運輸・通信省が国内の通信事業者に対して7日までデータ通信のサービス停止を命じたためだ。

接続遮断には、ネット上での国軍批判やデモ参加の呼びかけを封じる狙いがあったとみられるが、経済活動などへの影響や国民からの反発を考慮し復旧を決めた可能性がある。

7日のネット接続復旧後も、回線速度が低下するなど不安定な状況が続いている。ツイッターやフェイスブックは引き続き接続遮断対象となっている。市民は無料の「仮想私設網(VPN)」経由でSNS(交流サイト)を利用して対抗する。

ヤンゴンの6日のデモは、レーダン地区で工場労働者が始めた行進に近隣住民が加わり、当初は200人程度だった参加者がみるみるうちに膨らんだ。デモを聞きつけて参加した女子学生(28)は「国軍は自分の都合だけで動いている」と憤る。日本留学に向けて受ける予定だった面接が中止になり、先が見えないという。

ある男子学生(24)は「国軍は市民の抗議に何も答えず、インターネットまで奪った。街頭に出て声を上げるしかない」と語る。別の男性(25)は「クーデターは受け入れられない。(国軍が実現すると主張する)民主主義では人々の声を聴くことが重要だ」と批判した。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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ミャンマー国軍は2021年2月1日、全土に非常事態を宣言し、国家の全権を掌握したと表明しました。 アウン・サン・スー・チー国家顧問率いる政権を転覆したクーデター。なぜ起きたのでしょうか。 最新ニュースはこちら。

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