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ミャンマー最大都市、クーデターで混乱 携帯一時不通

(更新)

【ヤンゴン=新田裕一、バンコク=村松洋兵】ミャンマーで1日、国軍がクーデターを実行し、事実上の政府トップ、アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相らが拘束された。最大都市ヤンゴンでは同日朝から正午ごろまで携帯通信回線が利用できなくなった。預金を引き下ろそうとする列もでき、市民生活は混乱している。

クーデターは早朝に伝わった。「ミャンマーの民主主義を守るため、国際社会の広範な支援が必要だ」。現地時間1日午前5時40分(日本時間同8時10分)ごろ、与党・国民民主連盟(NLD)報道担当のミョー・ニュン氏は日本経済新聞の取材に対して、スー・チー氏やウィン・ミン大統領が同日未明に国軍によって拘束されたと語った。現地報道によると同氏もその後、国軍に拘束されたようだ。

6時20分ごろ、ミャンマー国営放送はフェイスブックに「技術的な問題で放送できなくなっている」と投稿した。その後、午前中に放送を再開したものの、国軍発表のニュース以外は国軍を賛美する歌を繰り返し流し続けている。

最大都市ヤンゴンでは7時ごろから携帯電話回線を通じた通話やデータ接続ができなくなった。ミャンマーでは固定ネット回線の利用者は少なく、多くの市民が一時インターネットを利用できなくなったとみられる。その後携帯回線は回復したものの、つながりにくい状態が続いている。

ヤンゴン市内の様子にも変化が出てきた。ロイター通信によると7時10分ごろ、市役所前に国軍車両が集まり、兵士が配備された。8時30分、国軍系テレビは1年間の非常事態宣言が発令されたと伝え、立法・行政・司法の全権をミン・アウン・フライン国軍総司令官が掌握したと明らかにした。この時点で1988年以来となる国軍のクーデターが確定した。

放送で国軍出身のミン・スエ副大統領は「(2020年11月に実施された総選挙の)有権者リストの誤りは深刻であり、複数政党制の民主主義の原則が守られていない」との声明を通じて、国軍の行動の正当性を主張した。国際社会からはブリンケン米国務長官が「重大な懸念と警戒」を表明するなど相次いで批判が上がった。

国軍系テレビの放送などを受け、クーデターを知った市民は10時ごろになると、現金を引き出すために銀行で行列をつくった。だが、銀行はネットワーク接続ができないとして、窓口でのサービスを停止した。ヤンゴン証券取引所も取引停止を発表した。

ATMに並んだ民間企業勤務のマウン・マウン・ウーさん(42)は「今日お金を引き出せなかったら大変だ。引き下ろせるまで待つ」といらだった。

突然のクーデターに市民からは経済への悪影響を懸念する声が相次いだ。露天商の女性(46)は「今日は誰も客が来ず、売り上げが期待できない」と嘆いた。タクシー運転手の男性(32)は「新型コロナウイルスの感染拡大が1年続くなか、さらにクーデターだ。一般市民が最も影響を受ける」と憤りを見せた。

ヤンゴンではバスの運行などは継続されたが、一部の外資系企業は従業員の出勤をやめさせたり、出勤した従業員も帰宅させるなどの対応を取った。ヤンゴンの在留邦人によると市内では国軍支持者が車で大音量のスピーカーで勝利の歌を流して走るなど、異様な雰囲気に緊張感が高まっている状態だ。

ヤンゴン中心部の目抜き通り「スーレー・パゴダ通り」は15台前後の警察トラックが止まり、数十人の警察官が待機している。

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