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チュニジア大統領、権力掌握進む 議会停止1週間

【カイロ=久門武史】北アフリカのチュニジアでサイード大統領が議会を停止してから1日で1週間がたった。議会第1党の主要イスラム政党が反発しているが、同氏は夜間外出禁止や閣僚解任で権力の掌握を進めている。中東諸国の大半は静観の構えだ。

サイード氏は議会停止を宣言した翌日の7月26日、全土に約1カ月間の夜間外出禁止令を出した。抗議デモなどで混乱が広がるのを避ける狙いとみられる。首相に続いて国防相も解任し、29日には警察を統括する内相に大統領顧問を務めた人物を任命した。

議会停止を巡っては第1党のイスラム政党アンナハダが「クーデターだ」と猛反発し、27日に「国民対話」を求める声明を出した。交渉で解決を探る姿勢を示したが、サイード氏が応じる気配はない。30日には大統領を批判した別の党の国会議員が治安部隊に逮捕された。

チュニジアは2011年に市民のデモが長期独裁政権を倒し、中東の民主化運動「アラブの春」の先駆けとなった。14年の新憲法で大統領と首相に権力を分散し、民主化が進んだ成功例とみなされたが、強権体制への回帰が懸念される。

経済の停滞に加え新型コロナウイルスの感染急増で政府や議会に国民が不満を募らせるなか、サイード氏は憲法の緊急事態条項を根拠に議会を停止したと主張した。議員の免責特権も停止し、行政権を自らが一時的に握るとした。憲法を巡る争いを判断する憲法裁判所は、憲法制定から7年を経た今も設置されていない。

中東諸国の反応は割れている。アンナハダに近いトルコは「人々の意思を代表する議会の停止を深く憂慮している」との声明を出した。「民主的な正統性」を取り戻すよう訴え、議会勢力を支持する姿勢を示した。

エジプトは外務省報道官が1日「チュニジア大統領への信頼」を表明した。エジプトでは11年にチュニジアと同じくデモで長期政権が倒れ、イスラム主義組織「ムスリム同胞団」出身の大統領が誕生したが、13年に軍が解任した。軍主導の政権は同胞団をテロ組織に指定し弾圧してきた。同胞団の流れをくむアンナハダの衰退は好都合だ。

サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)など君主国も同胞団を警戒しており、アンナハダには冷淡だ。「アラブの春」後に中東各地で一時、発言力を強めた同胞団系勢力の退潮は鮮明だ。

欧米諸国もサイード氏の批判は避けている。旧宗主国フランスの外務省は声明で政府機能の回復を促すとともに「(チュニジアの)民主的な実績を守るよう求める」とした。ブリンケン米国務長官は29日「チュニジアが民主的な道に戻ることが我々の強い希望だ」と中東の衛星テレビ局アルジャズィーラに語った。

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