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G20、石炭火力へ金融支援停止で合意 21年末までに実施

途上国へのワクチン供給促進も確認

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【ローマ=細川倫太郎】20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)は31日、首脳宣言を採択して閉幕した。気候変動分野では2021年末までに海外の石炭火力発電への公的な金融支援を停止することで合意した。世界の温暖化ガス排出量を「今世紀半ばごろまで」に実質ゼロにする目標でも一致。新型コロナウイルス対策では、途上国へのワクチン供給を促進することを確認した。

首脳宣言では再生エネルギーなどの開発を支援するとした一方、21年末までに「海外の新規の石炭火力発電所への国際的な公的融資に終止符を打つ」と明記した。温暖化ガスの排出削減対策が講じられていない発電所が対象になる。一方、G20各国内の石炭火力発電所の縮小や廃止では合意に至らなかった。

産業革命前と比べた世界の気温上昇を1.5度以内に抑えるための「努力を追求する」と指摘し、今後10年間で対策を加速する方針を確認した。温暖化ガスの排出量はG20で世界の約8割を占める。温暖化対策の具体策の議論は、同日始まった第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)に議論を引き継ぐ。

サミットにオンライン参加した中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は31日、「先進国は途上国に資金援助する必要がある」と主張した。日米欧は2050年までに温暖化ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げるが、中国は同目標について「2060年」と従来の主張を変えず、今世紀半ばごろを妥協案とした。

新型コロナ対策に関しては、21年末までにすべての国で人口の少なくとも40%、22年半ばまでには70%にワクチンを接種するという世界保健機関(WHO)の目標を支持した。高所得国で接種を完了した人の割合は65%に達する一方、低所得国は2%にも満たない。議長国を務めたイタリアのドラギ首相は世界のワクチン接種格差について「道徳的に受け入れがたいもので、世界経済の回復を損なう」と強調した。

ワクチン生産の拡大もめざす。首脳宣言では「ワクチン製造能力を地域レベルで拡大、多様化することで、世界で迅速かつ公平な流通を確保する」とした。G20は将来のパンデミック(世界的大流行)への備えと対応を強化するため、資金調達手段などを協議する作業部会の設置も決めた。年内にも初会合を開く見通しだ。

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