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トルコ金融政策迷走 市場の信認失墜 リラ安続く

(更新)
カブジュオール総裁はこれまで引き締めを批判していた(21日)=トルコ中銀・ロイター

【イスタンブール=木寺もも子】中東の地域大国トルコの金融政策が迷走している。低金利を好むエルドアン大統領の意向に忠実とみられているトルコ中央銀行のカブジュオール総裁は30日、通貨リラの急落を受けて「インフレ率の低下が達成されるまで引き締めが必要だ」と表明した。しかし、市場はこの発言を信用せずリラが反発する兆しはみられない。

エルドアン大統領によって更迭されたアーバル前総裁に代わって20日に就任したばかりのカブジュオール氏は元与党の国会議員で銀行経営を専門分野とする大学教授から中銀トップに起用された。

就任直前までテレビや新聞で「高金利はインフレを引き起こす」などと主張し、アーバル氏の引き締め策を批判していた。経済学の支配的な考え方とは矛盾するが、エルドアン氏の持論とは一致する。

30日には、金融政策を「独立して」実施し、足元で15%台のインフレ率に対して、物価上昇の影響を除いた実質金利をプラスに保つとも述べた。リラ安の進行に伴う市場の圧力に屈する形で、就任前の自説を転換した格好だが、前任者の引き締め路線を本当に引き継ぐのか、市場では懐疑的な見方が強い。次回の金融政策決定会合は15日に開かれる。

大胆な利上げによって通貨の安定やインフレ抑制を図ったアーバル氏が解任されたことで早期の利下げ観測が広がり、リラの対ドル相場は総裁交代以前と比べ1割超安い。3月30日にはエルドアン氏が未明の官報で副総裁の解任を発表したことを受け、前日比で一時3%下落していた。

リラは30日の総裁発言後、やや反発したものの、前日の水準には戻らず、31日も横ばいだ。中銀の独立性が損なわれ、エルドアン氏が引き締めを許すか不透明なためだ。

みずほ銀行欧州資金部の本多秀俊シニア為替ストラテジストは「中銀総裁が言説をころころ変える人物だという印象も与えてしまった」と指摘する。

中銀の金融政策は、エルドアン氏の介入を受けて二転三転してきた。2019年7月には、エルドアン氏の利下げ要請に応じなかった当時の総裁を更迭した。

後任のウイサル元総裁は低金利を維持しながら、ドル売りリラ買いの為替介入で通貨安定を試みたがリラ安は止まらず外貨準備が枯渇、20年11月にウイサル氏も更迭され、アーバル氏が就任していた。

アーバル氏は就任からの4カ月半で政策金利を計8.75%引き上げ、リラは同氏の就任前に記録した史上最安値から2割近く上昇した。ただ、果断な引き締め策はエルドアン氏の怒りを買い、2%の利上げを決めた3月の金融政策決定会合の直後に更迭された。任期途中での中銀総裁の更迭は過去2年弱の間で3回目となった。

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