包装や梱包の廃棄削減へEUが規制案 40年までに15%減

【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)の欧州委員会は30日、包装や梱包の廃棄物を減らすための規制案を公表した。一部の製品・サービスで使い捨て包装を禁止したり、リサイクルを義務付けたりする。2040年までに加盟国ごとに1人当たりの廃棄物を18年比で15%減らすことをめざす。
規制案は欧州議会と、加盟国からなる理事会で承認されれば成立する。EU内で事業展開する日本企業も対応を迫られる。記者会見したシンケビチュウス欧州委員(環境政策担当)は「循環経済(サーキュラーエコノミー)の原則が機能するよう適切な条件を整えたい」と語った。
規制案によると、企業は持ち帰りの飲食や通信販売の配送で、一定割合を再利用可能な包装で提供する必要がある。例えば、飲料では2030年までに20%、40年に80%の商品を再利用可能な容器で販売しなければならない。通信販売では30年に10%、40年に50%を再利用可能な包装にする必要がある。
レストラン内で消費される飲食の使い切りの包装や、野菜や果物の包装、ホテルなどが提供するシャンプーのミニボトルといった形式は禁止対象とする。新しいプラスチック包装には一定の割合で再生材を含めるよう義務付ける。
30年にはすべての包装・梱包材をリサイクルする方針も明記した。包装の設計を工夫したり、ペットボトルやアルミ缶の返却システムをつくったりする。
EU域内ではこの10年で包装の再利用率が低下し、包装が20%以上増えた。手を打たなければ、30年までにさらに19%増える可能性がある。域内ではプラスチックの約40%が、紙の約50%が包装や梱包に使われている。
欧州委によると、この法律を施行すれば30年までの温暖化ガスの排出量は施行されない場合と比べて2300万トン少ない4300万トンに減るほか、コストも64億ユーロ(約9200億円)節約できる。雇用も60万人規模で創出されるという。
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