/

独次期首相 中道左派ショルツ財務相、メルケル流で浮上

【ベルリン=石川潤】9月26日投票のドイツ連邦議会選(総選挙)に出馬せず引退するメルケル氏の次の首相候補として、中道左派のドイツ社会民主党(SPD)のオラフ・ショルツ財務相(63)が急浮上してきた。派手さはなく、ぼそぼそと話す姿はカリスマ性を欠くが、メルケル氏に似た冷静さと安定感が支持を集める。

メルケル氏と同じ中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が首相候補に立てるアルミン・ラシェット党首(60)は支持離れが止まらない。

「まるでメルケル(首相)のようだ」。次の首相を目指す3候補が参加した8月29日夜のテレビ討論会が終わると、独メディアはこう報じた。ラシェット氏、環境政党「緑の党」のアンナレーナ・ベーアボック共同党首(40)が時に感情をあらわにするなか、ショルツ氏はひとり、冷静な態度をとり続けたからだ。

討論会で、ショルツ氏はほかの候補が首相にふさわしくない理由を聞かれると「(他人の欠点でなく)自分たちに重要なことを訴えるべきだ」と答えた。討論会の勝者を問う世論調査の結果はショルツ氏が36%、ベーアボック氏が30%、ラシェット氏が25%となった。失点を最小限に抑え、いつの間にか勝利を引き寄せているという手法はメルケル氏に通じる。

ショルツ氏は、連立与党のパートナーであるCDU・CSUのメルケル氏を意識的にまねているようだ。8月の南ドイツ新聞に載ったショルツ氏の写真は、両手の親指と人さし指をくっつけてひし形を作るメルケル氏の得意のポーズだった。メルケル氏の大連立政権で財務相の自分こそが、この政権の安定を引き継げるとの自負がにじむ。

社民党はCDU・CSUに支持率で離され、長く低迷していた。ところが7月、洪水被災地を視察したラシェット氏が不謹慎な振る舞いをみせ、流れが変わった。堅実なショルツ氏の人気が相対的に高まり、社民党は一部の世論調査で支持率トップに立った。

これまで次期首相はラシェット氏かベーアボック氏と言われてきたが、ショルツ氏が急浮上した。次の首相になれるかどうかは総選挙後、過半数を確保するための連立交渉にかかる。社民党が現在の20%台の支持率を維持したまま総選挙を迎え、その後に緑の党や自由民主党を自陣営に引き込めれば、16年ぶりに社民党出身の首相が誕生する可能性が高まる。

死角もある。独主要都市のハンブルクで20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれた2017年、ショルツ氏は同市市長だった。だが、暴徒化したデモ隊による放火や略奪を防げなかった。

財務相に就任してからは独決済サービス会社のワイヤーカードによる粉飾が発覚。19年には社民党の党首選で左派候補に敗れ、求心力の低さを印象づけた。社民党が総選挙後、旧共産党の流れをくむ左派党との連立を模索するとの観測もある。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン