ロシア会計検査院長官が辞任 政権内のリベラル派不在に

ロシア上院は11月30日、会計検査院のアレクセイ・クドリン長官(62)の辞任を承認した。クドリン氏はプーチン政権内に残るリベラル派の有力者だった。ウクライナへの軍事侵攻を続ける政権から、欧米に近い政治的な視点も持つリベラル派が事実上、消えることになる。
クドリン氏は29日、プーチン大統領に辞表を提出し、30日、憲法の規定に基づいて上院で辞任を承認された。辞任の理由について、クドリン氏はSNS(交流サイト)で「国家部門で約25年間働いた。広い意味で民間のイニシアチブに関係した大きなプロジェクトに集中したい」と説明した。
ロシアではリベラル派の有力者が政権外に去る事例が相次ぐ。クドリン氏と同様に、1990年代にエリツィン政権で第1副首相などを務めたアナトリー・チュバイス氏は3月、国外に脱出した。90年代、大統領府長官だったワレンチン・ユマシェフ氏も5月末、プーチン大統領の非常勤顧問を辞任したことが明らかになった。
クドリン氏は1983年、プーチン大統領と同じロシア北西部のレニングラード大学(現サンクトペテルブルク大学)の経済学部を卒業した。1990年代半ばにはサンクトペテルブルク市の第1副市長を務めた。
1996年にエリツィン政権(当時)の大統領府に移り、1997年からは第1財務次官を務めた。国家債務の再編交渉で西側との交渉を担当し、プーチン政権が発足した2000年からは財務相や副首相を歴任した。2018年5月から政府予算などを監視する会計検査院のトップだった。
サンクトペテルブルク市政府で、同じく市幹部だったプーチン氏とは旧知の間柄で、信頼が厚いとみられていた。2月にウクライナ軍事侵攻が始まって以降、プーチン政権に対する批判はせず、政治的発言も控えていた。

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