ウクライナ戦車兵が英国到着、訓練開始へ

英国防省は29日、戦車を操縦するウクライナ軍の兵士たちが英国に到着したとツイッターで発表した。ロシアによる軍事侵攻を巡り、英国は主力戦車「チャレンジャー2」のウクライナへの供与を決めており、「ロシアに対して続いている戦闘に向けた訓練が始まる」と明らかにした。
英国は14日に「チャレンジャー2」を14両供与すると発表し、3月末ごろにウクライナに運び込まれる見通しだ。同じく主力戦車の供与を発表した欧米諸国とともにウクライナ兵の訓練を本格化する計画で、英国防省は「国際的なウクライナ支援の強さを証明する」と強調した。
ウクライナ東部では、ロシア軍の激しい攻撃が続いている。ロシアの軍事会社ワグネルは29日、激戦が続くドネツク州の要衝バフムト近郊の集落、ブラゴダトノエを制圧したとSNS(交流サイト)で明らかにした。
ドネツク州の親ロシア派幹部は30日、バフムト北方にあるブラゴダトノエの制圧について「陣地を改善し、補給路のひとつを断つことができる」と指摘した。ウクライナ側は同集落への攻撃を撃退したとしている。
ロシア軍はワグネルが主力となり、大きな人的損失にもかかわらず激しい消耗戦を続けている。特にバフムト周辺の集落の制圧を急ぎ、包囲網を狭めようとしている。
ウクライナのゼレンスキー大統領は29日夜のビデオ演説で「状況はとても厳しい。バフムトやブフレダル、他の方面でロシア軍の絶え間ない猛攻を受けている」と指摘した。
ロシア軍による攻撃で、民間施設への攻撃による犠牲も広がっている。29日夜には東部のハリコフ市で集合住宅がミサイル攻撃を受け、女性1人が死亡、3人が負傷したと伝えた。南部のヘルソン市でも29日に病院や学校などが砲撃され、3人が死亡した。
ロシアのリャプコフ外務次官は30日に公開されたロシア通信のインタビューで、米国とロシアが結んでいる新戦略兵器削減条約(新START)が2026年に期限切れとなった後に両国間の核軍縮条約が存在しなくなる事態について「可能性の高いシナリオだ」と発言した。
新STARTを巡っては、22年11月にエジプト・カイロで核兵器関連施設の相互査察再開についての会合が予定されていたが、ロシア側が最終的に開催に応じず、延期となっていた。
リャプコフ氏はまた、米国が主力戦車「エイブラムス」をウクライナに供与することを決めたことについて「破壊的な動き」と述べ、米国を批判した。

2022年2月にロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって1年になります。戦況や世界各国の動き、マーケット・ビジネスへの影響など、関連する最新ニュースと解説をまとめました。
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