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トルコ、北欧2国NATO加盟で実利 米はF16配備支援も

(更新)

北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で6月29日、合意したスウェーデン、フィンランドの新規加盟を巡っては、最後に賛成に転じたトルコの動きが鍵となった。5月に2国が加盟の意向を表明するとメンバー国としての拒否権をてこに、加盟実現を急ぎたい両国に加え、米国からもF16戦闘機売却などの実利をたくみに引き出した。

「マドリードの勝利」。トルコの親政権紙サバハはスペインのマドリードで北欧2国と結んだ合意をこう評した。北欧2国の新規加盟で合意したNATO首脳会議に先立ち、トルコと2国が28日に結んだ覚書では、2国によるトルコへの武器輸出制限の解除、トルコがテロ組織として敵視するクルド系組織への支援停止のほか、合意の履行状況を監視する枠組みの設立など同国の要求が盛り込まれた。

2国のNATOへの新規加盟にはすべてのメンバー国の同意が必要で、エルドアン大統領はこの拒否権をちらつかせて関係国から最大限の実利を引き出す戦略を立てていたようだ。「前向きに考えていない」。エルドアン氏は5月13日、2国が表明した加盟申請に対して突如、異論を唱えた。

フィンランドのニーニスト大統領によると、4月時点の電話協議ではエルドアン氏も加盟支持を口にしていたといい、欧米諸国は慌てた。その後6週間の交渉で、欧米諸国はトルコへの譲歩を繰り返した。

バイデン米大統領は自身の就任前、「独裁者」と批判したこともあるエルドアン氏との対話に消極的で、これまで互いの訪問はなく、国際会議の場での首脳会談や電話も数えるほどだった。それがマドリード合意直前にはエルドアン氏に電話して北欧2国との妥協を促し、現地での米トルコ首脳会談の開催で合意した。

NATO首脳会議の直前から米政府はバイデン氏とエルドアン氏が直接話すタイミングを探っていたフシがある。米政府高官は、バイデン氏が28日にスペインを訪れる直前までスウェーデン、フィンランドのNATO加盟問題でトルコを含む3カ国と「積極的に関わり続けている」と語っていた。

サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)やブリンケン国務長官らもトルコ高官と水面下で断続的に協議し、29日の会談につながった。米高官は「(米国は)トルコに譲歩しなかった」と話すが、バイデン氏は30日のNATO首脳会議後の記者会見で、F16戦闘機について「売却すべきだ」と述べた。

バイデン氏は米議会の承認が必要だとしたうえで「(承認は)得られるだろう」と述べた。伝統的にトルコ不信が強い米議会からも「支持する」(共和党のリンゼー・グラム上院議員)との声が上がった。

トルコのシンクタンク、EDAMのシナン・ユルゲン氏は「バイデン氏とエルドアン氏との会談が実現したこと自体が収穫だった」と説明する。

北欧2国の加盟を巡る駆け引きはいったん決着したが、火種はなおくすぶる。トルコのボズダー法相は29日、33人のクルド系活動家らを引き渡すよう改めて主張した。

人権国家を掲げる北欧2国にとって、司法の運用が不透明なトルコに活動家らを引き渡すのは要求事項の中でももっともハードルが高い。スウェーデンのアンデション首相は29日、「我々は当然スウェーデン法と国際法に従う。テロ活動に従事していない人が(引き渡しを)心配する必要はない」と述べた。

2国の加盟の実現には今後、詳細を定めた文書に全加盟国が批准する必要がある。トルコは2国に引き渡しを求めて圧力をかけ続けるとみられ、批准の段階で再び問題化する可能性は残る。(木寺もも子)

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