英LCCイージージェット、売上高4倍に急回復 22年9月

【ロンドン=佐竹実】英格安航空会社(LCC)大手のイージージェットが29日発表した2022年9月期決算は、税引き前損益が1億7800万ポンド(約295億円)の赤字だった。前の期は新型コロナウイルス禍の影響で11億3600万ポンドの赤字だったが、航空需要が大幅に戻って回復した。売上高は57億6900万ポンドと4倍になった。
22年9月期の旅客数は6970万人と、前の期の3倍強に増えた。新型コロナの影響がなかった19年の7割強の水準に回復した。英国では22年3月に水際規制が撤廃され、旅行をする人が増えた。ヨハン・ラングレン最高経営責任者(CEO)は「我々はこの夏に記録的な回復を記録した」とコメントした。
ロシアによるウクライナ侵攻でインフレに拍車がかかり、10月の英消費者物価指数は前年同月比で11.1%上昇と、約41年ぶりの高水準だった。市民の財布のひもは固くなっており、旅行を手控える可能性もある。ラングレン氏は「消費者は価値や空港のネットワークを求めるので、我々が恩恵を受ける」とするが、投資家は楽観視していない。29日の英株式市場でイージージェットの株価は下落した。
イージージェットは欧州を中心に34カ国で約900のルートを持っている。運用する約310機のうち、約6割を保有しており残りはリースだ。同社は次世代燃料による運航も目指しており、28日には英ロールス・ロイスと共同で水素でエンジンを動かす実験に成功したと発表した。
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