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トルコ経済、通貨安で明暗 7~9月7.4%成長

輸出好調 庶民はインフレで困窮

【イスタンブール=木寺もも子】トルコ統計局は11月30日、2021年7~9月期の実質国内総生産(GDP)が前年同期比7.4%増だったと発表した。通貨安で製造業や輸出が好調だった。一方、急激なインフレで庶民は困窮し、輸入品の供給網にも影響が出ている。

産業別では製造業が9.4%増だった。トルコは需要が回復しつつある欧州などへの輸出拠点で、年初から対ドルで4割も下落した通貨のリラ安が追い風となった。20年11月~21年10月の12カ月間の輸出額は2100億ドル(約24兆円)と過去最高を更新している。

新型コロナウイルス禍の反動で、サービス業も20.7%増と大きく回復した。

21年通期の成長率は9%を見込む。景気の浮揚を急ぐエルドアン大統領は中央銀行に圧力をかけ、主要政策金利を9月以降、年19%から15%まで引き下げた。「競争力のある為替レートは投資、生産、雇用を増大させる」として、金融緩和を続ける考えを繰り返している。

一方、調査会社メトロポールが11月に実施した世論調査では、回答者の7割が「昨年より貧しくなった」と答え「豊かになった」は1割にとどまる。高い成長率との落差が鮮明だ。

エネルギーなどを輸入に頼り、国内でも外貨建て取引が多いトルコでは、通貨安はインフレに直結する。公式な消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比20%弱だが、実感はより高い。

トルコに製造拠点を持つ京都市の機械メーカー、生田産機工業は10月、現地従業員の給与を25~38%引き上げた。例年は12~1月に給与を改定するが「物価上昇が速すぎて、待っていては技術を持つ人材が流出しかねない」と判断した。

通貨リラは11月、1日で最大15%暴落する場面もあり、物流にも影響している。イスタンブール市内の小規模スーパーによると、コスト上昇の懸念から卸売業者は日用品や非生鮮食品の供給を通常の半分以下にしぼっている。医薬品も輸入が多く、薬局の棚には空きが目立つ。

政府は最低賃金の大幅な引き上げや、財政出動による対応を検討しているもようだが、懸念する声もある。野党系のエコノミスト、ケリム・ロタ氏は「通貨安による輸出の拡大はかつて中国などが用いた手法だが、既にインフレが進行し、多額の外貨建て債務を抱えるトルコでは長続きしない」と指摘する。

ドルベースでみたトルコの1人当たりGDPは14年のピークから20年までに3分の2に減り、21年も落ち込む可能性が高い。

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