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中国・EU、投資協定に大筋合意 車や病院など制限緩和 

(更新)
30日、中国とEUはテレビ会議を開いた=ロイター

【ブリュッセル=竹内康雄、北京=川手伊織】中国と欧州連合(EU)は30日、投資協定を結ぶことで大筋合意した。発効すれば世界2位と3位の経済規模を持つ国と地域の結び付きが一段と強まる。EU企業は中国市場への参入に弾みがつく一方、中国も東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)に続く大型協定で存在感を高める狙いがある。

30日のテレビ会議には中国から習近平(シー・ジンピン)国家主席、EUからミシェル大統領とフォンデアライエン欧州委員長、ドイツのメルケル首相、フランスのマクロン大統領が出席した。

中国の人民日報によると、習氏は「世界経済の回復をけん引し、グローバル貿易や投資の自由化を促す」と強調した。フォンデアライエン氏は声明で「EUの中国との経済関係のバランスを取り戻すものだ」と訴えた。

大筋合意したのは「包括的投資協定」(CAI)。2021年1月20日に米国のバイデン次期政権が発足する前の駆け込み合意となった。新型コロナの打撃を受けた経済を再生させたいEUと、米国との対立の長期化をにらみ、独自の経済圏づくりを急ぐ中国の思惑が一致した。バイデン次期政権は合意直前に両者の接近をけん制しており、反応が注目される。

EUが発表した文書によると、EU企業の中国への参入制限が緩和される。例えば、自動車産業では合弁会社の要件を段階的に廃止するほか、新エネルギー車の市場が開放される。私立病院事業の合弁要件が緩和されてEU企業が北京など主要都市に進出できるようになったり、現在は禁止されているクラウドサービスへの参入が50%の株式取得を上限に認められたりするようになる。

中国政府による国有企業への補助金の透明性を高めたり、参入企業への技術の強制移転を禁止したりするなどの措置も盛り込んだ。合意に違反した場合は法的な責任を問える紛争解決メカニズムを設立する。

交渉で最後まで対立した中国での労働者保護については、中国側は強制労働を禁じる国際労働機関(ILO)の関連条約の批准を目指すことを約束した。EUは文書で「中国の過去の協定で最も野心的な内容だ」と評価し、中国が歩み寄ったとの認識を示した。

投資協定は投資環境の整備が目的だ。自由貿易協定(FTA)と違って関税の引き下げは伴わない。中国はFTA交渉を望んだものの、EU側が時間がかかるとして、投資協定にした経緯がある。FTAは一般的に投資章が入るため、投資協定の内容を網羅する。

中国にとってEUとの投資協定はRCEPに続く大型協定となる。習指導部が意識するのが国際的な貿易や投資で主導権を発揮できる環境づくりだ。米国に挑んだ覇権争いは長期化が避けられない。それならばいち早く米国が加わらない大型の貿易・投資協定を結び、経済的な影響力を高めようと動いた。交渉で中国のEUへの譲歩が目立つのは政治的な思惑を優先していたことを物語る。

もちろん、投資協定は経済的なメリットも大きい。国際通貨基金(IMF)によると、中国のEU27カ国への直接投資残高は19年時点で約2800億ドル(約29兆円)と、3年で倍増した。

習氏肝煎りの広域経済圏構想「一帯一路」がけん引役だが、独仏といったEU域内の主要国向けの投資も伸びている。投資協定で現地企業への出資や工場建設のハードルが下がれば、外需を取り込む手段として直接投資の役割が一段と高まる。海外経済の活力も生かして国内経済の底上げを図る「双循環」を掲げる中国にとって、欧州からの投資誘致は欠かせない。

コロナ禍で景気が低迷するEUでは、ドイツを中心に協定推進を求める声が強かった。だがEU側の批准手続きでは曲折がありそうだ。批准には欧州議会が同意する必要があるが、議会は少数民族ウイグル族の人権問題や、香港での民主主義の後退について中国政府への批判を強めている。

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