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トルコ大統領、5年ぶりサウジ訪問 関係改善へ首脳会談

(更新)

【イスタンブール=木寺もも子】トルコのエルドアン大統領は28日、サウジアラビアを5年ぶりに訪問し、サルマン国王やムハンマド皇太子と会談した。サウジ人記者殺害事件などで悪化した両国関係の修復を模索する。地域大国であるサウジとトルコの接近は中東の国際秩序に大きな影響を与える。

「両国や湾岸地域、イスラム共同体にとって新しい時代の扉を開くだろう」。エルドアン氏は28日夕方、サウジへの出発前に首都アンカラで開いた記者会見で、自らの訪問の意義をこう語った。

同氏はイスラム教の二大聖地、メッカとメディナに近いサウジ西部ジッダでサルマン国王らの歓迎を受け、断食月(ラマダン)中のイスラム教行事である日没後の食事をともにした。実力者であるムハンマド皇太子と笑顔で抱擁する場面もあった。

サウジへの訪問は2017年7月以来5年ぶりだ。18年10月にトルコのイスタンブールにあるサウジ総領事館内で起きたサウジ人著名記者のジャマル・カショギ氏殺害事件を機に、両国の関係は冷え込んだ。トルコがムハンマド皇太子の関与をほのめかし、音声記録を米欧に提供するなどしてサウジを追い詰めたためだ。

関係悪化で19年には32億ドルだったトルコからサウジへの輸出は21年に2億ドルまで減った。サウジで事業を展開するトルコの建設会社によると、トルコ系企業はサウジ政府の入札からも締め出されたという。

関係改善を主導したのはトルコだ。7日に裁判所がカショギ氏殺害事件の審理を停止し、サウジ側に移管すると決めた。トルコ政府の意向を反映した決定で、事実上、事件は幕引きとなった。

トルコリラは1年前から4割超下落し、外貨建ての対外債務の返済負担が膨らむ。エルドアン政権にはサウジとの和解を通じて経済的な苦境を打開したい考えがあるとみられる。

サウジ側にも安全保障上の思惑がある。米国は中東への関与を低下させ、バイデン政権はサウジの人権状況に批判的だ。イエメンなどの親イラン武装勢力からはサウジへのミサイル攻撃が相次ぐ。中東の軍事大国であるトルコと足並みがそろえば心強い。

エルドアン氏は28日、サウジへの「テロ攻撃」を批判し、防衛分野での関係強化にも言及した。トルコ製ドローンなどを供給する可能性がある。

サウジとトルコの和解の動きは、ここのところの中東全体の緊張緩和の流れの一つに位置づけられる。20年9月には「アブラハム合意」が結ばれ、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンなどアラブとイスラエルが国交を樹立した。21年1月には17年から続いたカタールへの断交をサウジ、UAEなど4カ国が解除した。各陣営の思惑を反映したリビア内戦などの和平が加速する期待もある。

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