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プーチン氏「核の脅し」発言弱める 中印の懸念に配慮か

ロシアのプーチン大統領は27日、放射性物質をまき散らす「汚い爆弾」の使用について「使う意味がない」と否定した。核兵器の使用についても「ロシアから言及したことはない」と主張し、核の脅しをややトーンダウンした。ロシアの核使用を懸念する中国などに配慮した可能性がある。

プーチン氏は内外の有識者を集めた「ワルダイ会議」で、およそ3時間にわたって質疑に応じた。

「汚い爆弾」をロシアが使用する可能性について「政治的にも軍事的にも使う意味がない」と明言した。

核兵器については、国家の存立が脅威にさらされた場合などに使用できるとした「軍事ドクトリン」に改めて言及した。「核兵器が存在するかぎり常に使用の危険性はある」と主張した一方、先制使用は否定した。

ロシアがウクライナ東・南部4州を一方的に併合したことで、米欧などは4州へのウクライナ軍の攻撃を根拠にロシアが核兵器を使用することを警戒している。

中国やインドなど米欧の対ロシア制裁と距離を置く国々も、ロシアの核使用には懸念を強めている。プーチン氏はロシアの核使用の可能性を持ち出したのは米欧側だと主張し、「ロシアと友好国との関係を悪化させようとしている」と訴えた。

「汚い爆弾」については自国の使用を否定する一方、ウクライナ側の使用の恐れを改めて指摘した。

プーチン氏は、ウクライナが使用済み核燃料を用いた「汚い爆弾」の製造技術を持っていると主張し、「ロシアを陥れるための企てだ」と持論を展開した。ロシアのショイグ国防相が米英仏との電話協議で懸念を伝えたことを「私の指示だ」と明かした。

オースティン米国防長官は27日、ロシアによる「汚い爆弾」の使用について「決断した兆候はない」と述べた。

ウクライナ側は同爆弾の開発を否定している。国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は27日、ウクライナの依頼を受けて数日中に同国内の2カ所の施設を調査すると表明した。

「汚い爆弾」を巡っては、ロシアが偽情報を拡散しているとの見方がある。西側諸国は、ロシアがウクライナの仕業とみせかける「偽旗作戦」を用いることを警戒している。

ロシア外務省は24日、ウクライナの2つの機関が「汚い爆弾」の作製を指示され、「開発が最終段階にある」とツイートした。証拠として「汚い爆弾の試作品」とする写真など複数の画像を公開した。

スロベニア政府は26日、ロシア側が証拠として挙げた写真について、スロベニア国内で撮影された「一般用途の煙探知機だ」と公式ツイッターで反論した。同国の機関が2010年に資料用に一般公開した写真だという。

戦況が厳しい中、ロシアが「汚い爆弾」を巡って情報戦を仕掛け、ウクライナと同国を支援する米欧のかく乱を狙った可能性がある。

ロシア軍はウクライナ軍の激しい攻勢にあっている。ウクライナ軍はロシアが併合した南部ヘルソン州の村を奪還。一部の住民は親ロシア派行政府の勧告を受けて退避した。

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