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トルコ20年GDP1.8%増 貸し出し増、製造業けん引

インフレ、失業が市民生活圧迫 成長シナリオに疑念も

「賃貸物件」の表示が貼られたカフェ(2月、イスタンブール)

【イスタンブール=木寺もも子】トルコ統計局が1日発表した2020年通期の実質国内総生産(GDP)は19年比1.8%増だった。政府主導の貸し出し拡大に伴い、製造業や一部の消費がけん引した。ただ、高インフレや失業者の増加で市民生活は苦しさを増しており、成長の持続性には疑問の声も上がる。

産業別では製造業が2.1%増、金融・保険業が21.4%増だった。サービス業はマイナス4.3%、建設業は同3.5%だった。10~12月期の実質GDPは前年同期比5.9%増だった。

新型コロナウイルスの影響が直撃した20年にプラス成長を記録した要因の一つは、18年夏の通貨危機「トルコショック」の後遺症で同年の3%から0.9%成長に沈んだ19年の反動だ。

さらに、政府主導の金融緩和策で、国営銀行などを中心に19年から4割増えた銀行の貸し出しも企業活動や一部の消費を後押しした。インフレ率を下回る実質的マイナス金利の優遇ローンなどの結果、新車販売は6割、住宅販売も1割増加した。

コロナ禍からの正常化に伴い、国際通貨基金(IMF)は21年の成長率が6%に加速すると予想する。1月には中国製のワクチン接種が始まった。政府は3月以降、外出制限などの感染拡大防止措置を徐々に緩和する方針を示している。

ただ、国民生活の実情は厳しい。雇用全体の半分超を吸収するサービス業は、店内飲食や週末の外出禁止措置で苦境にあえぐ。飲食店業界団体のトップは「このままでは、制限の緩和後も3割の店は再開できない」と訴える。

足元の失業率は13%だが、前中銀チーフエコノミストのハカン・カラ氏は「求職活動を諦めた人を加えた広義の失業率は25%に達する」と指摘する。新型コロナに伴う解雇禁止規制により、無給のまま雇用が維持されている人も200万人に上るとみられる。

景気の下支えを優先した緩和策の副作用も深刻だ。通貨リラは20年、対ドルで2割下落し、エネルギーをはじめとする輸入物価を押し上げた。インフレ率(21年1月)は15%と、1年前から3ポイント悪化した。

中央銀行は20年11月以降、インフレ抑制のため金融引き締めにかじを切り、政策金利を計6.75%引き上げて17%とした。通貨安に歯止めをかけるなどの効果が出ているが、景気を冷ます可能性もはらむ。著名エコノミストのムスタファ・ソンメズ氏は「20年のような緩和策に頼れない21年は内需の拡大が見込みにくい」などとして、新型コロナの収束頼みの成長シナリオに懐疑的な見方を示す。

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