ウクライナへ戦車供与「321両」 ロシアは2月にも攻勢か

【ベルリン=南毅郎】ウクライナのオメルチェンコ駐仏大使は27日、ウクライナに供与される戦車が計321両になると明らかにした。フランスメディアに語った。ロシア軍は2月か3月にもウクライナに新たな攻勢を始める可能性があり、米欧諸国はウクライナ兵の訓練も含めて主力戦車の引き渡しを急ぐ。
オメルチェンコ氏は「ウクライナに計321両の重戦車の供与が正式に確認された」と述べた。具体的な国別の供与数やモデルは判明していない。これまでにドイツは「レオパルト2」14両、米国は「エイブラムス」31両の供与を決めた。ウクライナのゼレンスキー政権は米欧諸国に300〜500両の戦車が必要だと訴えている。
ロシア側は警戒を強めている。制圧地域は縮小しており、米欧諸国の主力戦車が地上戦で投入される前に反撃を探っているもようだ。米ブルームバーグ通信はロシア大統領府関係者の話として、ロシア軍が2月か3月にもウクライナに新たに攻勢をかける可能性があると伝えた。
米欧諸国は戦車供与を急ぐ。ドイツ政府はウクライナ兵に対するレオパルト2の操縦訓練を2月上旬にも始める予定だ。英国は主力戦車「チャレンジャー2」を3月末ごろにウクライナに届ける方針で、ドイツも3月末にも引き渡す見通し。
ウクライナは米欧諸国に対し、次の軍事支援として戦闘機の供与にも言及し始めている。ロイター通信によるとウクライナ国防省顧問は25日に「次の大きなハードルは戦闘機だ」と述べ、一層の支援拡充を要請した。
一方、ドイツのピストリウス国防相は27日公開の南ドイツ新聞(電子版)とのインタビューで、戦闘機の提供は「ありえないことだ」と否定。戦闘機は戦車よりも複雑なシステムだとして「私が警告を発している次元に踏み入れることになる」と懸念を示した。ショルツ独首相も「戦闘機を送ることはない」とけん制している。

2022年2月にロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって1年になります。戦況や世界各国の動き、マーケット・ビジネスへの影響など、関連する最新ニュースと解説をまとめました。
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