地中海の境界画定に署名 イスラエルとレバノン

【カイロ=久門武史】地中海の天然ガス田を巡って対立してきたイスラエルとレバノンは27日、海上境界の画定について署名し正式に合意した。国交のない両国間で異例の合意となる。イスラエルはロシア産ガスから切り替えを急ぐ欧州への輸出に向けて増産し、レバノンもガス開発を目指す。
境界は沖合のカナ・ガス田を横切る形で引かれ、イスラエルはレバノンにこのガス田の開発を認める。イスラエルのラピド首相は12日「レバノンのガス田からの収入の約17%を受け取る」と説明した。
一方、イスラエルは境界のすぐ南のカリシュ・ガス田で生産を始めた。操業会社の英エナジーンが26日、生産開始を発表した。同ガス田での生産にはレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが反発しイスラエルを強くけん制していたが、政府間の合意を受け容認に転じた。ガス田を巡る双方の緊張はひとまず収束した。
米国の仲介で境界画定の交渉を重ねてきたイスラエルとレバノンは、それぞれ首脳が自国で合意文書に署名した。ラピド氏が11日に合意を発表していた。イスラエルは11月1日に総選挙を控え、レバノンもアウン大統領の任期が10月末に切れるという事情があり、妥結を後押ししたとみられる。
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