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英国でガソリン不足深刻に パニック買い、軍も出動

(更新)
ガソリンスタンドには長蛇の列ができた(27日、マンチェスター)=AP

【ロンドン=佐竹実】英国でガソリン不足が深刻になっている。輸送に必要な運転手が足りず一部店舗が閉鎖したことをきっかけに、人々がパニック買いに走ったためだ。政府は軍を動員してのガソリン輸送を準備しているほか、一時的に就労ビザを緩和して輸送に必要な運転手を確保しようとしているが、産業界からは根本的な解決にならないとの批判も出ている。

「ガソリンは十分にある。賢明な行動をすべきだ」。シャップス運輸相は26日、冷静に対応するよう国民に呼びかけた。だが不安は収まらず、27日になってもロンドンのガソリンスタンドには長蛇の列ができた。英全土8千店舗の約7割が加盟するガソリン小売協会によると、50~90%のスタンドでガソリンが枯渇した。

英政府は陸軍を動員してガソリンを運ぶことを準備している。英BBCなどによると、最大150人の運転手が出動できる体制を整えているという。ガソリン各社について競争法の適用を一時的に免除し、各社が共同輸送や情報共有などをできるようにする用意もある。危機的状況を受け、医療従事者らは優先的に給油できるようにすべきだとの声も上がっている。

きっかけは、英石油大手BPが23日に一部ガソリンスタンドを閉鎖すると発表したことだ。運転手不足で燃料が運べなくなり、閉鎖を余儀なくされた。これが人々の不安をかき立てパニック買いを引き起こした。このところの燃料高に拍車がかかり、足元ではガソリン価格が8年ぶりの高水準となった。

運転手不足は数カ月前から問題になっていた。政府は25日になってようやく運転手確保のための緊急対策を発表した。就労ビザの条件を緩和し、欧州連合(EU)などから5000人の運転手をクリスマスまでの期間限定で受け入れるほか、職業訓練などで運転手を増やす。

英国ではトラック運転手など多くの業種がEUからの移民に労働力を依存していたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い多くが帰国した。英国はEUから離脱したため、再入国するには語学力などをクリアしてビザを取得しなければならない。業界団体によると約10万人のトラック運転手が不足したままだ。英商工会議所は26日、政府の緊急対策について「焼け石に水だ。ビザの数を大幅に増やす必要がある」と指摘した。

運転手以外にも、人手不足は深刻だ。鶏肉生産業などの業界団体「英家禽(かきん)評議会」によると、業界の労働者の約6割に相当する2万2800人がEU出身者だ。英政府は25日の緊急対策で、同業界にも5500人を一時的にEUなどから受け入れると発表したが、不足分を補いきれない。

パニック買いによる燃料不足はいずれ収まる可能性がある。だが、EU離脱とコロナ禍による労働力不足は長期的な問題だ。トラックの運転手が足りないことにより、スーパーでは水などの欠品が続いているほか、ファストフードチェーンも材料不足で一部店舗の閉店を余儀なくされた。物流が増えるクリスマスを前にさらに混乱する懸念が強まっている。

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