ドイツ銀行の21年、純利益2500億円 2期連続で黒字

【ベルリン=石川潤】経営再建中のドイツ銀行は27日、2021年の純利益が前年の約17倍の19億4000万ユーロ(約2500億円)になったと発表した。ドイツ銀行はリスク管理などに問題を抱えて19年まで5期連続の赤字だったが、20年に黒字に転じ、今回2期連続の黒字となった。黒字路線がようやく定着し、今後は収益力のさらなる強化が課題となる。
ロイター通信によると、黒字の規模は過去10年で最大となった。ゼービング最高経営責任者(CEO)は「4つの中核事業が計画通りか計画を上回る結果となり、負の遺産の処理も想定以上に進捗した」と手応えを強調した。
ドイツ銀行は純収益が254億ユーロと前年比で6%拡大。不良債権処理損の大幅な減少もあって、税引き前利益が前年の3倍超の33億9000万ユーロ、税引き後利益が同4倍の25億1000万ユーロへと伸びた。21年10~12月の純利益は1億4500万ユーロで、前年同期の約2.8倍だった。
ドイツ銀行は1990年代から2000年代にかけて投資銀行業務を急拡大させたが、リスク管理などに問題があり、08年の金融危機以降は株価が大幅に下落し、赤字も目立つようになっていた。18年に就任したゼービングCEOは19年、行員の2割削減や投資銀行部門縮小を柱とする大規模なリストラを打ち出し、顧客取引を重視した経営への回帰を急いでいた。
もっとも、欧州中央銀行(ECB)のマイナス金利政策が続くなど、経営環境は依然として厳しい。米国などのライバルと比べてなお見劣りする収益力をどう高めていくかなど、今後には課題も残されている。
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