1.5度以上の気温上昇「5年以内の恐れ」 世界気象機関

【パリ=白石透冴】世界気象機関(WMO)は27日、2025年までに「産業革命前に比べて、平均気温が1.5度以上高い」年が発生する可能性が40%以上あるとの見通しを発表した。現状の温暖化ガス削減に向けた取り組みでは、深刻な気候変動を食い止められない恐れがあることが改めて浮き彫りとなった。
21~25年の全期間を通した平均気温が1.5度以上高くなる可能性は、10%だという。温暖化対策の枠組み「パリ協定」では、温暖化を産業革命前に比べて2度未満に抑え、1.5度以下にする努力目標を掲げている。20年の平均気温は産業革命前より1.2度高かった。
気候変動についての報告書では「温暖化の確率は時間がたつにつれて高くなっている」と指摘した。これまで平均気温が最も高かったのは16年だが、記録が5年以内に塗り替わる可能性は90%ある。WMOは温暖化に伴う異常気象で、大西洋では熱帯低気圧が発生しやすくなるとも予想した。
国際エネルギー機関(IEA)によると、温暖化を1.5度以内に抑えるためには世界が50年までに温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする必要がある。化石燃料への新規投資をすぐにやめ、35年までにガソリン車の新車販売をやめるなどの対応が必要だとしている。
世界での20年の二酸化炭素(CO2)排出量は前の年比で5.8%減った。新型コロナウイルス禍で経済が停滞したのが理由で、21年は増加に転じる恐れがある。