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イスラエル、アラブ4カ国外相と融和演出 イランにらみ

【ブカレスト=久門武史、ワシントン=坂口幸裕】イスラエルは28日まで2日間にわたり、同国南部でアラブ首長国連邦(UAE)などアラブ4カ国と米国の外相を交えた6カ国の外相会合を開いた。新たに国交を樹立したアラブ諸国との融和を演出し、敵対するイランをけん制する狙いがある。

外相会合には米国以外に、イスラエルが2020年に国交を正常化したUAE、バーレーン、モロッコと、第4次中東戦争後の1979年に平和条約を結んだエジプトが出席した。イスラエルのラピド外相は28日、この会合の定例化に意欲を示し「共通の敵イランを威圧し抑止することができる」と強調した。

イスラエルや湾岸アラブ諸国はイランを脅威とみなし、米国が対イラン制裁を解除する内容を盛り込んだ核合意の復活を警戒している。中東歴訪中のブリンケン国務長官は外相会合で、中東への関与を強調し友好国の懸念払拭に努めたとみられる。

ブリンケン氏は27日のラピド氏との会談後、記者会見で「両国ともイランに核兵器を保有させない決意だ」と見解の一致を強調。「核合意への復帰がイランの核開発を元通り封じる最善の道だ」と述べた。一方、ラピド氏は「核合意とその影響について不一致がある」と語り、両国の隔たりも改めて浮き彫りになった。

モロッコとエジプトはイスラエルや湾岸アラブ諸国ほどイランを脅威とみておらず、一枚岩とは言いがたい。それでもイスラエルは、対立してきたアラブ諸国を招いて外相会合を開催したこと自体が外交成果だとみる。ベネット首相は27日の閣議で「我々は古い結びつきを深め、新たな懸け橋をつくっている」と誇った。ブリンケン氏はベネット氏とも会談した。

外相会合ではウクライナ情勢を巡っても協議したとみられる。イスラエルはロシア、ウクライナ双方と良好な関係を保ち、停戦に向けた仲介を試みている。

アラブ諸国がイスラエルと対立する原因となってきたパレスチナ問題は影が薄れている。ブリンケン氏は27日、ヨルダン川西岸ラマラを訪れパレスチナ自治政府のアッバス議長と会談し、イスラエルとの「2国家解決」に向けて米政府が関与し続けると伝えた。パレスチナにも配慮を示した形だ。

パレスチナ自治政府は、イスラエルがイランの脅威を利用してパレスチナ問題への関心を低下させようとしていると非難した。パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスは外相会合について「パレスチナを攻撃し続けるイスラエルに資するだけだ」と断じた。

イスラエル北部ハデラでは27日夜、武装した男2人が無差別に発砲した。銃撃戦で国境警察の2人が死亡し、市民ら12人が負傷した。武装した男はアラブ系イスラエル人で、銃撃戦で死亡。過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出した。ラピド氏は外相会合で事件について説明し「すべての外相が攻撃を非難した」と表明した。

イスラエルが「ネゲブ・サミット」と銘打った6カ国外相会合の開催地スデボケルは、建国の父ベングリオン初代首相が余生を送った地だ。イスラエル建国で土地を追われたパレスチナの人々をよそに、イスラエルとアラブ諸国の関係が深まる象徴的な会合になったとの見方が出ている。

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