ドイツ、国防費をGDP比2%超へ ロシア侵攻で方針転換

【ベルリン=石川潤】ドイツのショルツ首相は27日、独連邦議会で演説し、国防費を国内総生産(GDP)比で2%以上へと大幅に引き上げる方針を表明した。ロシアがウクライナに侵攻し、欧州の安全保障が揺らいでいることに対する処置だ。2022年予算から1000億ユーロ(約13兆円)を連邦軍のための投資資金として確保する考えをあわせて示した。
ショルツ氏は「自由と民主主義を守るために安全保障にもっと投資しなければならない」と語った。ドイツの国防費はGDP比で1.5%程度にとどまっており、米国やほかの同盟国から引き上げを求められていた。装備の老朽化への懸念も高まっていた。ショルツ氏は「今後、毎年、GDPの2%以上」を投じていくと語った。
第2次大戦の災禍を経て、平和主義が根強いドイツでの大きな方向転換となる。ドイツのショルツ政権は、ロシアのプーチン大統領が緊張緩和の要求を無視し、ウクライナへの侵攻に踏み切ったことへの危機感を強めていた。
ドイツはロシアに融和的とみられていたが、ショルツ氏は22日に独ロの新しい天然ガスパイプライン計画(ノルドストリーム2)を凍結すると発表。26日には拒み続けてきたウクライナへの武器供与を決断した。同日、ロシアの大手銀行を国際決済網から切り離す米欧の追加制裁にも同意し、ロシアに厳しい姿勢に転じていた。

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