/

ウクライナ、ロシアと対話合意 プーチン氏は核でけん制

(更新)
think!多様な観点からニュースを考える

【モスクワ=石川陽平】ロシアのプーチン大統領は27日、核戦力を含む軍の核抑止部隊に任務遂行のための高度な警戒態勢に移行するよう指示した。核戦力をちらつかせ、対ロ制裁を強化した欧米をけん制する狙いとみられる。ウクライナ大統領府は27日、ロシアの代表団と停戦協議を行うと明らかにしたが、緊張は高まっており、協議の成否は不透明だ。

ロシア国営テレビによると、プーチン氏は「西側は我々に対して経済的に非友好的な行動をとっているだけでなく、北大西洋条約機構(NATO)からは攻撃的な発言がなされている」と述べ、欧米への反発をあらわにした。

プーチン氏による今回の指示はロシアが直ちに核攻撃の準備に入ることを意味しないが、2020年に同国が公表した軍事戦略とは整合性がとれている。この戦略では、ロシアやその同盟国に対する核攻撃や通常兵器による自国領への攻撃で国家の存続が脅かされた場合、ロシアには核兵器を使う権利があると主張している。プーチン氏は24日、ロシアによるウクライナへの侵攻停止を試みる国々に対して、「過去経験したことがない事態に直面することになる」と警告を発していた。

一方、米国防総省高官は27日、記者団にプーチン氏の指示について「不必要であるだけでなく、緊張に拍車をかける措置だ」と批判した。「誤解が生じるととても危険だ」とも語り、偶発的な核使用にも懸念を示した。米国のトーマスグリーンフィールド国連大使も同日、米CBSのインタビューで「プーチン氏は到底許容できないやり方で事態をエスカレートさせている」と強く反発した。

一方、ウクライナ大統領府は同日、ベラルーシとの国境地帯でロシア側の代表団と前提条件なしの停戦協議を行うと明らかにした。前提条件なしの対話はウクライナのゼレンスキー大統領が呼びかけていた。多数の市民が犠牲になる本格的な市街戦を避けたい考えがあったとみられる。米CNNによると、ウクライナ政府高官は停戦協議は現地時間28日午前になるとの見通しを示した。

ただ、ウクライナ各地では戦闘が続いている。ウクライナメディアは27日、内務省幹部の話としてキエフ近郊のブチャで約30台のロシア軍装甲車が進軍していると伝えた。ウクライナ政府によると同日、北東部にある同国第2の都市ハリコフにもロシア軍が侵攻し、一時市街戦になった。ロイター通信は27日、ウクライナ政府関係者の話として、ベラルーシ領土からウクライナに対するミサイルの発射があったと伝えた。

ウクライナのマリャル国防次官は27日、ロシアの侵攻開始以降、ロシア軍兵士約4300人を殺害したと表明した。一方、ロシア国防省は27日、ウクライナ南部のヘルソンや南東部のベルジャンスクを完全に封鎖し、周辺の空港や都市も支配下に置いたと発表した。米国防総省の高官はロシア軍によるウクライナの首都キエフへの進軍が滞っているとの分析を示したうえで、ウクライナ軍の強い抵抗や燃料不足が背景にあるとの見方を示した。

一方、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は27日、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアへの追加制裁案を発表した。EU領空にロシアの航空機が乗り入れるのを禁止するほか、ロシア政府系メディアのEUでの活動を禁じる。ウクライナに武器などを購入するための資金も供与する。

カナダもロシア航空機に対して自国の領空通過を禁止した。領域内での離着陸や上空を飛行することができなくなる。今後はフライトのキャンセルが見込まれることなどから、米国とフランスは27日、自国民に対してロシアからの速やかな国外退去を勧告した。

ロシア事業を抜本的に見直す企業の動きもでてきた。英石油大手BPは27日、19.75%保有するロシア石油大手ロスネフチの株式を全て売却し、同社と手掛けてきたロシア国内での合弁事業も全て終えると発表した。ロシアから事実上撤退する。1990年から現地でビジネスを展開してきたが、ウクライナへの軍事侵攻で「状況が根本的に変わった」として関係の見直しを決断した。

国連の安全保障理事会は27日、ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、国連総会の緊急特別会合を開くための決議を採択した。28日にも開催する。ロシアの拒否権発動による安保理の機能不全に対応する。米国などが主導し、侵攻を非難する総会決議の採択を目指す。

米国とアルバニアが提出した特別会合開催についての決議には11カ国が賛成し、採択された。ロシアは反対したが、今回は手続き上の採決だったため、安保理の投票でも拒否権は行使できなかった。中国、インド、アラブ首長国連邦(UAE)が棄権した。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

  • この投稿は現在非表示に設定されています

    (更新)
    (0/300)
(0/300)
投稿内容をご確認ください
投稿チェック項目誤字脱字がないかご確認ください
投稿チェック項目トラブル防止のため、記事で紹介している企業や人物と個人的つながりや利害関係がある場合はその旨をお書き添えください
投稿チェック項目URLを投稿文中に入力する場合は、URLの末尾にスペースか改行を入れてください
詳細は日経のコメントガイドラインをご参照ください

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

ウクライナ侵攻

ロシア軍がウクライナに侵攻しました。戦況や世界各国の動き、マーケット・ビジネスへの影響など、関連する最新ニュースと解説をまとめました。

■戦況  ■マーケット・金融への影響  ■ビジネスへの影響  ■調査報道

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン