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企業との不透明な接触、英で物議 ダイソン氏と交信も

ジョンソン英首相は不適切な行為はないと強調した(4月21日、ロンドン)=英議会提供・ロイター

【ロンドン=篠崎健太】英国で政権幹部と企業の不透明な関係が物議を醸している。経営破綻した金融会社が公的支援を働きかけていた問題に加え、ジョンソン首相が家電大手ダイソン創業者のジェームズ・ダイソン氏に対し、税制面での対応を示唆するメッセージを送っていたことも明らかになった。野党は批判を強めている。

ジョンソン首相とダイソン氏のやりとりは、4月下旬に英BBCが報じた。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ダイソンが新たな人工呼吸器の開発計画を発表した2020年3月、個人の携帯電話で交わされた。

シンガポールに拠点を移した同社は技術者がアジアにいる。呼吸器開発のため一時的に呼び寄せる際、滞在期間によっては英国で納税が必要になる可能性があった。ダイソン氏は納税問題が妨げになるとの懸念を伝えたのに対し、ジョンソン氏は「あす見直す。リシ(・スナク財務相)も修正すると言っている」などと答えたとされる。

ジョンソン氏は議会下院で経緯を問われ「命を救う人工呼吸器確保のためのできる限りの行動で絶対に謝罪しない」と述べ、不適切な点はないと強調した。政府はやりとりが外部に流出した経緯の内部調査に乗り出したが、同社との関係に問題はないとの立場だ。

3月に破綻した金融会社グリーンシル・キャピタルをめぐっては、コロナ対策の公的融資を受けられるよう、同社の顧問だったキャメロン元首相がスナク財務相やイングランド銀行(中央銀行)副総裁などに直接掛け合っていた。元政府高官が15年、退職前にグリーンシルに雇用されて一時兼務状態になっていた問題も明らかになり、波紋を呼んでいる。

企業や個人が政策変更を働きかける「ロビー活動」は、民主主義を構成する手段の一つ。英国でも登録や情報公開などを条件に認められている。批判を浴びているのは首相や主要閣僚が個人の携帯電話で、連絡先を知り得る立場の人物と非公式に接触していたからだ。報道がなければ表面化しなかった可能性が高い。

グリーンシル破綻問題を調べている英議会の下院財務委員会は5月11日、キャメロン氏と政府・中銀当局者のやり取りの中身を公表した。メールや携帯のメッセージで親しげに相談する様子が記録されていた。最大野党・労働党は当局者と企業の接触について「親しい友人とそれ以外の英市民で別々のルールがあるような印象が強まっている」と批判している。

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