独アクセル・シュプリンガー、米ポリティコを買収
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【フランクフルト=深尾幸生】独メディア大手アクセル・シュプリンガーは26日、米政治専門サイト「ポリティコ」を買収すると発表した。買収額は非公表だが、マティアス・デフナー最高経営責任者(CEO)は独メディアのインタビューで6億3千万ユーロ(約820億円)を上回ることを明らかにした。有力サイトを傘下に加え、デジタル事業へのシフトを加速する。
買収は年内に完了する予定だ。両社は14年に折半出資で「ポリティコ欧州版」を立ち上げるなどのつながりがあった。
2007年創刊のポリティコは350人以上の記者・編集者を抱え、詳細な米政治報道で定評がある。ポリティコの創設者で発行人のロバート・アルブリトン氏は、買収後も発行人にとどまる。アクセル・シュプリンガーはアルブリトン氏からテクノロジーニュースのサイト「プロトコル」も買収する。
アクセル・シュプリンガーはドイツ最大発行部数のタブロイド紙「ビルト」や一般紙「ヴェルト」などを持つ複合メディアだ。米投資ファンド、コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)が株式の約半分を握る大株主になっている。
ポリティコ欧州版の立ち上げのほか、15年にはビジネス情報サイト「ビジネス・インサイダー」(現インサイダー)を傘下に収め、20年にはインサイダーを通じてビジネスニュース専門ニュースレター企業に出資するなど事業を拡大。ドイツのアナログメディアからグローバルなデジタルメディアへの転換を急いでいる。