フィンテックの両雄提携、後払いクラーナと米ストライプ

【ロンドン=佐竹実】後払い決済サービスのクラーナ(スウェーデン)は26日、米オンライン決済のストライプと業務提携したと発表した。ストライプの顧客の小売業などは、決済の選択肢にクラーナを追加できるようになった。世界のフィンテックのユニコーン(企業価値が10億ドルを超える未上場企業)トップ2による提携で、互いに顧客層を広げる狙いがある。
「BNPL(バイ・ナウ・ペイ・レイター)」と呼ばれる後払い決済サービスは、クレジットカードがなくても買い物ができる手段として急成長している。17カ国で9000万人の顧客を持つクラーナにはソフトバンク・ビジョン・ファンドなどが出資しており、米調査会社CBインサイツによると企業価値は456億ドル(約5兆2千億円)と欧州で最大のユニコーンだ。

2010年設立のストライプは、米料理宅配のドアダッシュや米配車アプリのリフトなどオンライン企業を中心に顧客を持ち、クレジットカードなどの決済サービスを提供している。企業価値は950億ドルにのぼる。BNPLを決済手段に加えることで顧客の裾野を広げる。
BNPLは欧米で競争が激しくなっている。BNPLの米アファーム・ホールディングスは8月に米アマゾン・ドット・コムと提携した。米決済大手のスクエアは8月、オーストラリアのアフターペイを約290億ドルで買収すると発表している。コロナ下で消費者の利用は増えており、米コンサルティングのベイン&カンパニーによると英国での2020年の取扱高は64億ポンド(約1兆円)と前年に比べて6~7割増えた。
BNPLは人工知能(AI)が多重債務者の情報などを基に上限額などを瞬時に判断する仕組みで、消費者にとっては使い勝手が良い。一方で、過剰に買い物をしてしまうとの指摘もある。英フィナンシャル・タイムズによると、英国の広告基準局はクラーナの一部広告を禁止したほか、お膝元のスウェーデンでは他の支払いの選択肢より先にBNPLを提供することが違法となっている。
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