ドイツ、誰でもワクチン接種可能に 6月から

【ベルリン=石川潤】ドイツのメルケル首相は26日開いた記者会見で、遅くとも6月には新型コロナウイルスのワクチン接種を誰でも申し込めるようにすると発表した。現在は年齢などで優先順位を付けて対象者を限定しているが、高齢者らへのワクチン接種が進んできたため、6月には制限が不要になる。
メルケル首相は「誰もがすぐに接種できるわけではない」とクギを刺したが、9月までにはすべての市民にワクチンが行き渡るようにする。ドイツではワクチンの普及が遅いとして政府・与党への批判が強まっていたが、足元では少なくとも1回接種した人の割合が2割を超え、接種がようやく進み始めていた。
ドイツは9月26日に連邦議会選挙(総選挙)を控えている。新型コロナ対策の混乱などでメルケル首相の与党、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の支持率は低下し、一部の世論調査では緑の党に逆転を許している。政府・与党にとって、ワクチンの普及を加速させることが政権維持の条件となりつつある。
ドイツは変異ウイルスの拡大による感染の第3波を受けて、新規感染者数が2万人を超える日が増えている。新型コロナを封じ込めるため、感染者が多い地域を対象に夜間外出禁止などにする全国一律のルールを導入したばかりだ。