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仏LVMHの1~6月、純利益10倍 コロナでも強み発揮

出遅れていた欧州も回復した(7月、ウィーンにあるルイ・ヴィトンの店舗)

【ウィーン=細川倫太郎】高級ブランド世界最大手、仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンが26日発表した2021年1~6月期決算は、純利益が前年同期比10倍の52億8900万ユーロ(約6900億円)になった。全地域が新型コロナウイルス禍から回復した。世界的なカネ余りの環境で富裕層の消費が高級ブランドに向かっている。

「パンデミック(世界的大流行)の間も、事業への投資を続けてきたことの恩恵を受けている」。ベルナール・アルノー会長兼最高経営責任者(CEO)は同日に出した声明でこうコメントした。純利益はコロナ前の19年1~6月に比べても6割増えている。

売上高は56%増の286億6500万ユーロ。全体の半分を稼ぐファッション・皮革は74%増で、主力ブランドの「ルイ・ヴィトン」がけん引した。1月に約1兆7000億円で買収した米宝飾大手ティファニーとの相乗効果も表れ、時計・宝飾品は3.1倍に急増した。最も厳しかった免税・百貨店も5%増と増収に転じた。パリでは傘下の老舗百貨店「サマリテーヌ」を大規模改装し、6月にオープンした。

地域別では全地域が2桁増収を達成した。為替変動などの影響を除いた売り上げの伸び率は、中国を中心にアジア(日本を除く)が70%増と最も大きい。米国が60%増、日本は42%増となっている。欧州は唯一、1~3月期はマイナスだったが、4~6月期に好転し25%増に回復した。小売店の営業再開が進んで買い物客が戻った。

LVMHは70以上あるブランドや、強固な財務体質を武器にコロナ禍でも強さを発揮している。ロイター通信は「小さなライバル企業がまだ立ち直ろうとしているときに、その財力を利用してマーケティングなどにお金を費やしている」と指摘。例えば「クリスチャン・ディオール」は旅行客へのPRのため観光地で期間限定店を増やした。

株価はほぼ一貫して上昇している。26日の終値は約673ユーロ。年初からの上昇率は3割を超え、過去最高値圏で推移している。時価総額は約3400億ユーロと欧州企業では首位で、2位の食品世界最大手ネスレ(スイス)を1割以上上回っている。フランスのエルメスやケリングなど他の高級ブランドの株価も軒並み上昇している。

ただ、過熱感は強まっている。QUICK・ファクトセットによると、21年12月期の予想PERは26日時点でLVMHが約37倍と、フランスの代表的な株価指数であるCAC40の構成銘柄平均(約19倍)の倍近い。短期的な株価調整を予想する声もある。

世界的な金融緩和の流れが各国で記録的な株高を演出し、金融資産を持つ富裕層は恩恵を受けている。新型コロナのワクチンが普及しても、旅行や外食がなお制限されているなかで、高級品など「モノ消費」にお金が流れやすい。イタリア南部のリゾート地、カプリ島の高級ブランドが集まる通りは、多くの国内客でにぎわっている。

不安もある。感染力が強いインド型(デルタ型)の変異ウイルスの流行で、欧米では感染が再拡大している。現時点で厳しいロックダウン(都市封鎖)まで踏み込む国はみられないが、再び店舗閉鎖に追い込まれるリスクはある。消費が富裕層に偏っているのも懸念材料で、中低所得者層に訴求できるブランド戦略も課題になる。

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