ドイツ、核禁条約にオブザーバー参加 「核共有」は継続

【ベルリン=石川潤】12月にドイツの新政権を発足させるドイツ社会民主党(社民党、SPD)、緑の党、自由民主党(FDP)は24日まとめた連立合意書に、核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加を盛り込んだ。核兵器のない世界、ドイツを目指す。同時に、ロシアなどの脅威を念頭に、米国と核兵器の運用を「共有」する仕組みを維持する姿勢も明確にした。
核兵器禁止条約へのオブザーバー参加の表明は主要7カ国(G7)では初めて。北大西洋条約機構(NATO)加盟国ではノルウェーに次ぎ2カ国目とみられる。同条約の第1回締約国会議は2022年3月にウィーンで開く予定。連立合意書は軍縮に向けて「主導的な役割を果たしたい」と強調した。
一方、ドイツには米軍の核兵器が配備されており、運用にドイツの戦闘機を使う「核の共有」の仕組みがある。連立合意書は、核兵器について「戦略的な議論や立案プロセスへの参加はドイツの利益だ」と指摘。核共有に必要な戦闘機の後継システムの整備を急ぐことも明記した。
中道左派の社民党、環境政党の緑の党には核兵器を拒否する声も多い。だが、核保有国の米国やフランスなどは、ドイツが核共有を放棄した場合、欧州の安全保障にはマイナスになると警戒していた。