各国の30年目標、パリ協定達成「ほど遠い」 国連報告書
日本などに対応促す
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【ブリュッセル=竹内康雄】国連気候変動枠組み条約事務局(本部・独ボン)は26日、地球温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」に基づいて各国が提出した2030年の温暖化ガスの排出削減などの目標について、分析報告書を公表した。報告書は現状の目標ではパリ協定の達成には「ほど遠い」とし、各国に削減幅を引き上げるよう促す。日本を含め主要排出国は対応を迫られそうだ。
各国はパリ協定に基づいて、主に30年の排出削減目標を含む温暖化対策の計画を20年末に提出するよう国連に要請されていた。提出したのはパリ協定を批准する約190カ国・地域のうち、日本や欧州連合(EU)、英国など75カ国・地域にとどまった。米国や中国、インドは提出しなかった。
日米欧中が今世紀半ばの排出実質ゼロ目標を掲げるなか、30年目標は達成までの経路を示す意義がある。パリ協定は気温上昇を産業革命前から2度未満、できれば1.5度以内に抑えることをめざす。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、30年に10年比で25~45%減らす必要がある。
報告書は現状では0.5%減にとどまると指摘。国連のグテレス事務総長は声明で「主要排出国は、はるかに野心的な30年目標を提出する必要がある」と訴えた。

日本は30年度に13年度比26%減という以前と同じ内容を提出した。目標据え置きは国際社会から批判も出た。温暖化対策に積極的なバイデン米政権と歩調を合わせる意味でも、政府内では目標引き上げも視野に検討が進む。