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ベラルーシ、ロシアとの一体化加速 改憲で核保有の恐れ

【モスクワ=桑本太】ベラルーシは27日に憲法改正の是非を問う国民投票を実施した。改憲案では核兵器の受け入れに向けた改正も盛り込み、同盟国であるロシアとの一体化を加速する。ルカシェンコ大統領の院政につながる機関の設置を可能にし一層の長期政権を可能にする。

憲法改正はルカシェンコ氏の強権政治の下、賛成多数で承認された。中央選挙管理委員会によると国民投票の投票率は78.6%。賛成は65.2%、反対は10.1%だった。

憲法改正によって、核保有などの軍事力強化につながる懸念が強まっている。現行憲法では、外交政策の条文に「領土を非核地帯とし、中立国を目指す」とあるが、改憲案ではこの条文を削除した。

ロシア通信によると、ルカシェンコ氏は27日、「もし米国など核保有国が(ベラルーシと国境を接する)ポーランドやリトアニアに核兵器を配備するなら、ロシアのプーチン大統領に核兵器を返してもらうよう要請する」と述べた。ベラルーシはソ連崩壊後にソ連軍の核兵器をロシアに引き渡していた。

ベラルーシはロシアと同盟関係にある。軍事や経済での連携を強化する方向で両国首脳は一致。ウクライナ情勢を巡ってロシアが米欧との緊張関係を強めており、一段と両国の関係が強まる可能性もある。

今回の改憲で「民主政治の最高代表機関」として「全ベラルーシ国民会議」を制度化する。全ベラルーシ国民会議は政財界や地方、社会団体などの代表が集まる協議機関で、これまでは憲法の規定がなかった。

改憲案では国民会議を「社会と国家発展の戦略的方針を定める国民権力の最高機関」と明記した。大統領が憲法違反や国家反逆の罪を犯した場合に解任できるなど強い権限を持たせる。ルカシェンコ氏が当面、大統領と国民会議議長を兼任する可能性もあるが、国民会議を支配することで、院政を敷くことが制度的に可能になる。

ルカシェンコ氏は1994年から強権統治で大統領に君臨し「欧州最後の独裁者」とも呼ばれる。同氏は2020年の大統領選で6選を果たした。ただ、反政権派は、投票で大規模な不正があったとの疑念を強めており、20年の選挙後に大規模な抗議デモが実施された。

また、改憲案では大統領の任期制限を復活。2期10年までとする。これまでの任期は考慮されないため、ルカシェンコ氏は2035年まで大統領を務められることになる。任期制限を復活させることで、国民の不満をそらす狙いがあるとみられる。

ベラルーシはロシアと2月10日から合同軍事演習を開始、当初の終了日だった20日を過ぎてもロシア軍はとどまり、24日のロシアのウクライナへの侵攻に伴い、駐留するロシア軍の一部がベラルーシ国境を越えてウクライナの首都キエフなどへの侵攻を進めているもようだ。

ロシアのウクライナ侵攻を支援しているとして米国などはベラルーシへの制裁を表明した。日本も制裁に加わる。

今回の国民投票を巡っては、反体制派指導者のスベトラーナ・チハノフスカヤ氏らがネットメディアを通じてベラルーシ国民に反対票を投じるように呼びかけていた。投票日の27日には反政権デモがミンスクなどで開かれ、拘束者も出ていた。

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