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トルコ消費者物価79.6%上昇 食品・家賃高騰で市民悲鳴

【イスタンブール=木寺もも子】トルコ統計局は3日、7月の消費者物価指数(CPI)上昇率が前年同月比79.6%だったと発表した。食品や交通費、家賃など生活関連の物価高騰が市民生活を圧迫する。募る国民の不満は、インフレ鎮静化に有効な手立てを打てていないエルドアン政権に向かう。

物価上昇率は6月の78.6%から加速し、1998年9月以来の高水準となった。項目別では「交通費」が119.1%、「食料品」が94.7%となった。通貨安に加え、ロシアのウクライナ侵攻を機にエネルギーや穀物の価格が高止まりする影響を受けた。住宅関連の費用の高騰も目立つ。家賃や光熱費を含む「住居費」は前年同月比70.0%上昇した。

「2.5倍の家賃でも受け入れるしかなかった」。最大都市のイスタンブールで運転手として働く男性(50)は肩を落とす。更新月を迎えた7月、自宅アパートの賃料は2500リラ(約1万9000円)から6200リラに跳ね上がった。引っ越しを考えたが、周辺の物件はそれ以上の水準だったという。

インフレ高進で資産防衛に迫られた富裕層が不動産に資金を集中させた結果、トルコの不動産価格は急伸している。中央銀行によると5月の住宅(販売)価格指数は前年同月比2.5倍、イスタンブールに限れば同2.7倍に及んだ。不動産価格の上昇が賃料の上昇につながり、インフレ率をさらに押し上げるという悪循環になり、中間層を直撃している。

政府は家賃高対策として、従来はCPIに応じて決まる仕組みの家賃の上昇率について、25%を上限とする時限措置を6月に発表した。だが、急速に進む物価高の現状とかけ離れた規制は貸し手側に受け入れがたく、実際には守られていないケースが多いようだ。

物価高が収まる兆しはみえない。中銀は7月に公表したリポートで2022年末時点の見通しを60.4%とし、前回(4月)の42.8%から引き上げた。民間の学者らでつくるENAグループは7月のCPI上昇率を175.6%と発表するなど、インフレ実態は公式統計より悪いとの見方すらある。

トルコでは労働者の半数が最低賃金で働いており、高インフレの影響は甚大だ。政府は7月に最低賃金を30%引き上げた。1月に50%引き上げたのに続いて今年2回目の賃上げとなったが、生活コストの上昇にはまるで追いつかない。

問題の根っこには異例の金融政策がある。物価抑制のためには利上げというのが金融政策の定石。だがエルドアン氏は「金利が下がればインフレ率も下がる」と逆の主張を続ける。政権の影響下にある中銀は7月の金融政策決定会合でも年14%の政策金利を据え置いた。通貨リラは対ドルで1年前の半値以下にある。

来年6月までに実施する大統領選・議会選を控えて、エルドアン政権の支持率は危機的な水準に落ち込んでいる。調査会社メトロポールの7月世論調査では支持が41.5%、不支持は53.7%だった。

同調査では、出馬が取り沙汰される野党5候補の誰がエルドアン氏とともに決選投票に進んだ場合でも、エルドアン氏が劣勢という結果が出た。

エルドアン氏率いる与党連合も下野のリスクがある。シンクタンクのイスタンブール経済研究所の7月世論調査では「今週末に選挙があったらどの党に投票するか」という問いに対し、エルドアン氏が率いる与党連合を挙げた人は計27.8%。野党連合は計33.1%となった。

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