/

トルコ、難民への不満強まる アフガンからの流入警戒

トルコ・イラン国境では壁の建設が進む(8日、トルコ東部ワン県)

【イスタンブール=木寺もも子】トルコが難民に対する姿勢を厳しくしている。すでに約400万人の難民を抱え国民の負担感が増しているためだ。国境警備が強化され「反難民」を掲げる新党を結成する動きもある。政府は欧州などにアフガニスタン難民の受け入れを拒む考えを伝えており、新たな外交問題にもなっている。

8日、アフガンの隣国であるイランと国境を接するトルコ東部ワン県。赤茶けた山肌をさらす標高2000メートル超の険しい尾根沿いで、高さ3メートルの壁の建設が進んでいた。現地の憲兵将校は「山を越えてでも入国を目指す難民がいる」と語る。

イスラム主義組織タリバンの攻撃が激しくなった6月ごろから、イランを経由して1日数百人のアフガン難民がトルコに密入国しているとみられている。トルコ政府は500キロメートル超あるイラン国境で壁の建設を急ぎ、密入国を手助けする業者らを次々と摘発している。

伝統的に難民に寛大だったトルコがここにきて強硬な姿勢をみせる背景には、強まる市民の不満がある。国内には2011年に始まったシリア内戦から逃れた難民約360万人に加え、数十万人のアフガン難民らが滞在するとみられる。受け入れの長期化やトルコ経済の低迷で、同情的だった当初のムードは徐々に悪化した。

「不法滞在のアフガン人は我々の3分の1以下の1日20~30リラ(約300~400円)で働く。とても競争にならない」。日雇いで工務作業を請け負うワン県在住のミュスルム・ティムチンさん(60)は訴える。

首都アンカラでは8月、シリア難民とトルコ人住民が衝突して2人が死傷する事件が起き、100人超が拘束された。同月末にはトルコ初とみられる反難民政党「勝利党」も誕生した。

難民の多くはトルコを経由して欧州を目指すため、トルコの難民政策には欧州も神経をとがらせる。アフガンの政変を受けて8月下旬以降、ドイツ、オランダの外相や欧州連合(EU)高官らによる「トルコ詣で」が相次ぐ。

トルコは16年にEUと結んだ合意に基づき、欧州から送還される難民を引き受けてきた。ただ、見返りとされたトルコ国民のEUへのビザなし渡航や資金支援などの約束が履行されず、一方的な負担を強いられているとの不満が強い。

アフガンを巡り米欧などが受け入れを表明するのは自国に協力した人や人権活動家などで、人数や対象は限定される。周辺国や欧州へのルート上にある国はより多くの難民が自国に無秩序に流れ込みかねないと懸念している。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

アフガン情勢

アフガニスタンでイスラム主義組織タリバンが首都カブールを制圧し、大統領府を掌握しました。米国は2001年の米同時テロをきっかけにいったんはタリバンを打倒しましたが、テロとの戦いは振り出しに戻ります。アフガニスタン情勢を巡る最新の記事をこちらでお読みいただけます。

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン