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欧州でワクチン供給遅れ 域外輸出規制や法的措置も

欧州委のキリヤキデス委員はアストラゼネカを厳しく非難(25日)=ロイター

【フランクフルト=深尾幸生】欧州連合(EU)で新型コロナウイルスワクチンの供給が遅れている。米製薬大手ファイザーなどに続き、英製薬大手アストラゼネカも予定通り供給できないことが表面化し、各国政府は反発する。感染力が強い変異種向けに追加接種が必要になるとみられる例も出ており、生産・供給体制に不安が広がっている。

「(アストラゼネカの)新しいスケジュールは受け入れられない」。キリヤキデス欧州委員(保健衛生担当)は25日の記者会見で語気を強めた。

欧州委は週内にもアストラゼネカのワクチンを承認する予定だが、アストラゼネカは22日、合意より少ない量しか供給できないと欧州委と加盟国に通告した。ロイター通信によると、1~3月に8000万本の予定が3100万本に減る見通し。べルギーの生産委託先の工場で歩留まりが上がっていないという。

25日にはフォンデアライエン欧州委員長と同社のパスカル・ソリオ最高経営責任者(CEO)が電話で協議した。2度にわたり同社とEU27カ国の合同委員会で話し合ったが合意できなかった。欧州委はEU内で生産するワクチンの域外輸出に規制も辞さない。

米ファイザーと独ビオンテックのワクチンも供給が滞る。ロイターによると、イタリア政府は25日、供給責任を果たすよう求める書簡をファイザーに送り、法的措置も辞さない構えだ。

ファイザーは15日、ベルギー工場での増産に向けた設備改良で、一時的に供給を減らすと発表した。ポーランドやルーマニアなどは先週受け取ったワクチンの量が予定の半分程度にとどまったもようだ。ファイザーは今週には正常化するとしている。

EUは12月末からファイザー製、1月にモデルナ製のワクチン接種を始めた。供給の遅れが続けば、夏までに成人の7割に接種する計画にも暗雲が漂う。

26日時点の集計によると、人口100人あたりの接種人数はドイツで2.1人、フランスで1.6人にとどまる。世界で先行するイスラエル(44.9人)や英国(10.4人)などに対し見劣りは否めない。

ワクチン接種が進まない間に欧州では変異種が猛威を振るう。スペインやポルトガル、フランスなどでは感染が再び急増。感染力が強いとされ、米でも25日、保健当局がブラジル型の変異種を確認したと発表した。

米バイオ製薬のモデルナは25日、同社ワクチンは南アフリカで確認された変異種にも基準を満たす効果がみられたが、感染を防ぐ「中和抗体」の量が6分の1に減ったと報告した。同社は南ア型変異種向けに追加接種するワクチンなどについて臨床試験(治験)を始める。ただワクチン普及前に変異が重なり、いたちごっこになると危惧する声もあがる。

日本は3社と契約を結んだ。ファイザーは2021年内に1億4400万回分を供給する。アストラゼネカは21年初頭から1億2000万回分、このうち3000万回分を3月までに供給する予定。モデルナは6月までに4000万回分、その後9月までに1000万回分を追加する。

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