/

気温上昇抑制、排出ゼロ目標達成でも0.5度 国連報告書

地球温暖化の厳しい現状を指摘する報告が相次いでいる。国連環境計画(UNEP)は26日、温暖化ガスを実質ゼロにすると表明した50カ国・地域が約束を果たしても、2.7度と見込む気温上昇を0.5度しか抑えられないとの試算を公表した。世界気象機関(WMO)は25日、大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が2020年に過去最高を更新したと発表した。

一連の国際機関の報告は31日に英グラスゴーで始まる第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)での議論の材料になる。いずれも世界の取り組みがなお不十分と評価する内容で、各国・地域に対策の強化を迫っている。

ケニアのナイロビに本部を置くUNEPの「排出ギャップ報告書」は、9月時点で実質排出ゼロを宣言していた50カ国・地域を分析した。これらの国・地域は世界の排出量の半分以上を占める。約束が完全に実行されると、今世紀末に2.7度と予測する気温上昇は2.2度に抑えられる可能性があるという。

地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」は気温上昇を産業革命前から2度未満、できれば1.5度以内に抑えることをめざしている。今回の報告書は現在の取り組みの延長では目標の達成は厳しい実態を改めて浮き彫りにした。

実質排出ゼロの目標は漠然としており「各国は具体的な計画を30年以降に先送りしている」と問題視した。アンダーセン事務局長は声明で「各国は新たな政策を導入し、数カ月以内に実行に移さねばならない」と行動の加速を呼びかけた。

各国が国連に提出した30年時点の排出削減目標については「(パリ協定が掲げる目標との)ギャップをわずかに埋めているにすぎない」と明記した。20年以降に日米欧などが打ち出した新たな30年目標は全体として、19年以前に定めた目標水準に比べて7.5%低いだけだという。

UNEPが20日公表した別の報告書によると、世界各国は30年時点で、気温上昇を1.5度に抑えるのに必要な量の2倍以上の化石燃料を生産する計画だ。COP26で、排出の多い石炭利用の大幅な縮小で歩み寄れるかが焦点になる。

新型コロナウイルス禍で経済活動が停滞した20年に世界のCO2排出量は前年比5.4%減った。21年は過去最高水準だった19年を若干下回る程度にまで増える見通し。日米欧などは21年は19年より低い水準になる一方、中国とブラジル、ロシアは上回るという。

大気中のCO2の濃度上昇はとまっていない。WMOなどが25日公表した報告書によると、20年は413.2PPM(PPMは百万分の一)と、前年から2.5PPM高まった。上昇幅は過去10年の平均の2.4PPMを上回る。他に温暖化効果のあるメタンや亜酸化窒素の濃度も高まった。

WMOによると、人間活動で生じる二酸化炭素のほぼ半分は海や森林などが吸収している。吸収量は温暖化の速度を左右する。今後は干ばつや森林火災、海水温上昇などによって吸収量が減る恐れがあるとも警告した。

(ブリュッセル=竹内康雄、パリ=白石透冴)

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン